山と海どっちの車窓を選ぶ?広島ご当地鉄道事情 山間部「究極のローカル線」から鉄道連絡船まで

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山陽本線において広島県の旅は、東は大門駅から始まる。岡山県最大の観光地・倉敷を過ぎてしばらく行くと県境を跨ぐ。大門駅からは広島県福山市。瀬戸内の工業地帯にある都市だ。さらに進むと、尾道、三原。このあたりは、広島=安芸のイメージで捉えていると間違いである。現在の広島は、かつての旧令制国でいうと東側の備後と西側の安芸に分かれる。福山はこのうち備後側に属し、江戸時代には福山藩が置かれていた。

ローカル区間を行く福塩線。府中駅を境に沿線環境が一変する(撮影:鼠入昌史)

その福山からは、福塩線というローカル線が分かれている。ローカル線というが、府中駅までは電化されている立派な通勤通学路線。福山都市圏は、なかなかに大きいということだ。少ないながらも府中駅からは、山陽本線に乗り入れて岡山駅まで運転される列車も設定されている。

ところが、福塩線は府中駅から先で雰囲気が一変する。文字どおりの非電化ローカル線になって、運転本数は1日にわずか6往復。府中駅発の下り列車は8時11分発の次が15時5分。実に7時間も間隔が空くという、いわば究極のローカル線なのだ。

中国山地のローカル線

そんな究極のローカル線の旅は、福塩線に乗り通して三次(みよし)駅までたどり着いてからもまだまだ続く。三次駅は事実上、芸備線と福塩線が分岐する広島県山間部の交通の要衝だ(事実上というのは、芸備線と福塩線の分岐は正しくは塩町駅だからだ)。2019年までは三江線も分かれていた。

その三次は、三江線が廃止されてからは芸備線と福塩線の2路線が乗り入れるだけの駅となった。広島方面には快速「みよしライナー」も運転されるなど、比較的運転本数が多い(多いといっても毎時1本程度だから、都市部と比べたら多いうちには入らないかもしれない)。

ところが、同じ芸備線でも反対側、備後落合・新見方面に向かうとなるとこれがまた福塩線もびっくりの究極のローカル線になってゆく。

三次駅発備後落合方面の列車は1日に7本だけだ。そのうち、5本が備後落合駅を終点とし、残る2本は備後庄原駅止まり。備後庄原駅は庄原市のターミナルであるが、山間部ということもあって鉄道の役割はさほど大きなものではないようだ。

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