参入は楽でも生き残り3割「キッチンカー」の現実 コロナ禍で増加、成功している人の共通点とは
新型コロナ禍で青息吐息の飲食店を尻目に、街中でよく見かけるのが弁当などを移動販売するキッチンカー(フードトラック)だ。軽トラックやライトバンに厨房(ちゅうぼう)設備を取り付けた車両は、今やオフィス街やイベント会場だけでなく、住宅街にも進出している。その現状をリポートする。
キッチンカーの“名所”の今
国内屈指のオフィス街、東京・大手町。新型コロナ禍によるリモートワークでビジネスマンの姿は減ったものの、ランチ時ともなると各ビルのエントランスやパティオに並ぶキッチンカーには人だかりができる。
中でも神田川沿いの「大手町川端フードガーデン」は、毎日10台前後が軒を連ねるキッチンカーの“名所”だ。
7月のある日、正午前に訪れると、ケバブやタコライス、チキンビリヤニ、奥では吉野家のノボリもはためいていた。
運営管理するのは「無形工房kochen」(東京都港区)。同社の中野敏行社長(60)はキッチンカー歴15年の業界最古参の1人で、6年前から委託されている。
「コロナ前は、15台前後出店して月間総売り上げ約900万円を記録したこともありました。それが最初の緊急事態宣言で営業ができなくなり、いったんゼロに。再開後は昨年8月が約230万円、現在は10台で約500万円まで戻しています」