さらに、この数字を考えるうえで着目すべきポイントがあります。
まず、37名のうち35名が女性です。そして、57%(21名)が何らかのアレルギー歴を有しておりました。特筆すべきなのは化粧品です。化粧品には、ポリエチレングリコール(PEG)が含まれているものが増えています。PEGとは、成分を安定化させたり、効果を長持ちさせたりするために添加する物質で、医薬品や高級化粧品にも使用されています。ファイザーワクチンにもPEGが添加されていますので、これがアレルギー原因物質の可能性が考えられました。その他、ワクチンアレルギーは計7名(インフルエンザワクチン5名に加え、肝炎ワクチン2名)おり、ワクチンアレルギー既往がある人も注意が必要です。
今回、ファイザーワクチンによる日本人のアナフィラキシーの発現頻度は、多めに見積もられた初期の報告では0.02%という結果でした。
アナフィラキシー発現は非常にまれだが注意は必要
それでも、この値は決して絶対的に高くはありません。にもかかわらず、今回のアナフィラキシーを重要視する理由は、極めて多くの方が接種を受けるため、「万が一」を想定する必要があるからです。
具体的には、専用の救護スタッフの配置、昇圧薬や抗アレルギー薬などの準備、スムーズな病院緊急搬送の手続きなどが挙げられます。一般人対象の接種事業では、われわれ医療従事者はアナフィラキシーに備えて入念に準備を行ってきました。
その甲斐あってか、2021年8月4日に公表された厚生労働省の資料によれば、日本のアナフィラキシーの発現頻度は約0.0005%(アナフィラキシー360件/推定接種回数7400万回余り、100万回接種あたり5件の頻度)という結果で、アメリカ疾病予防管理センターの結果と同程度でした。さらに、そのほとんどは回復し、死亡は認められませんでした。
ですので、ファイザーワクチンの接種におけるアナフィラキシーは非常にまれな副反応として注意は必要なものの、日本人での接種を依然として推奨できる安心材料になると考えられ、ひとまずホッとしている次第です。
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