【産業天気図・化学】車・半導体など需要拡大で化学部材が増勢、11年3月まで「晴れ」。中期の不安材料は中国失速

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 一方、今期は下期以降の収益環境に不透明要因も残っている。まず、足元で好調な中国向け輸出の息切れが懸念されている。中東や中国で石化製品の基礎原料となるエチレンの大幅な増産が相次いで立ち上がってくることで、日本勢が打撃を受ける可能性がある。

中国経済が過熱気味な点にも要注意だ。資産価格や物価上昇が著しく、中国の当局は金融引き締めに動いており、高成長が抑制されてもおかしくない。

これに対応して、国内の石油化学産業では石化製品の基礎原料となるエチレン生産に関連して再編が進んでいる。4月に三井化学<4183>が出光興産<5019>と千葉コンビナートでエチレン設備の運営を統合。

5月31日には、三菱ケミカルと旭化成が、岡山県の水島コンビナートでエチレン事業を11年4月に統合すると発表した。足元は好調な中国需要の急減を警戒する動きと言える。

こうした状況から、主要な化学メーカーも今下期は増益ペースが鈍化するとの想定を立てている。つまり業績改善のピークは今上期というシナリオだ。ギリシャ危機に端を発した欧州経済を取り巻く不安要素もある。増益ペースが続くことから11年3月まで「晴れ」予想とするものの、その先の晴れ間はまだしっかりと見えていない。
 
(武政 秀明=東洋経済オンライン)

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