スズキ、ダイハツ「日系トラック連合」参画の事情 トヨタの一声で新会社に合流することが決まった

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実際、軽商用車の分野にはすでに新興メーカーの影が迫る。日本では2022年9月から、ASFというEVの開発・企画・販売に特化したベンチャーが佐川急便に対してEVの軽商用車納車を始める予定だ。

佐川急便は保有する7200台のバンタイプの軽自動車をすべてASFのEVに入れ替える方針。AFSには、ほかの物流会社やクリーニングといったバンタイプの商用車を用いる複数の企業からも引き合いがあるという。

佐川急便とASFが共同開発したEVの試験車両(写真:佐川急便)

ASFは、佐川急便のドライバーへのアンケートを反映し業務効率化が図れる車両設計を強みとする。小ロットでのカスタムも対応可能で、各社に合わせた車種を提供できる。

既存部品を組み合わせて設計し、中国メーカーに生産委託することでコストを抑えている。ASFによると、充電スタンドなどインフラ整備を含めた運用コストを含めても、既存のガソリンエンジン搭載の軽バンよりもコストが下がるという。ASFの飯塚裕恭社長は「BtoCではないので、デザインがどうといったことは追求しない。重要なのは機能性と価格だ」と話す。

コネクテッドで「差別化」できるか

現状、スズキとダイハツはいずれも軽自動車のEVを発売できていない。三菱が販売していた軽バンのEV「i-MiEV」も価格は300万円以上で、100万円を切るグレードもあるガソリンタイプとの価格競争力の差は歴然としていた。しかも、身軽な新興メーカーが格安のEVでバンタイプの軽自動車市場に進出してくると、既存メーカーとしてはますます劣勢になってしまう。

車両開発も欠かせないが、商用車としての新たな強みになるのが、大型・小型、そしてメーカー共通で使えるコネクテッドサービスだ。すでに多くの顧客基盤を持つ既存メーカー同士が手を組むことで、新興メーカーには真似できないサービスの差別化要因になりうる。CJPTを通じたコネクテッドの共通基盤構築の成否が、スズキ・ダイハツの軽商用車での生き残りを大きく左右することになりそうだ。

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中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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