スズキ、ダイハツ「日系トラック連合」参画の事情 トヨタの一声で新会社に合流することが決まった

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

商用車の特性上、個社での取り組みには限界がある。大手物流会社は、いすゞや日野が扱うような大型トラックを用いた大型輸送だけでなく、軽バンを使った配送も行っており、複数のメーカーの車種を使用していることが多い。そこに自動車メーカーが別々のコネクテッドサービスを提供すると、物流会社は複数のサービスを管理する必要が生じ、むしろ効率が低下するおそれがある。

コネクテッド領域は日野、トヨタ、いすゞによる提携の大きなテーマの1つ。商用車版の統一的なコネクテッド基盤作りに、スズキといすゞが合流する(編集部撮影)

その課題を解消するため、CJPTでは共通基盤を構築する。土台となる部分を共通化し、各社は追加的な機能や使い勝手の面で差別化を図る。スズキの鈴木社長が「大型物流とラストワンマイルは血管としては繋がっていたが、(実際の業務連携は)紙やベテランの技でつながっていたと思う」と指摘するように、大型トラックと軽商用車の連携も重要になってくる。ダイハツやスズキは共同基盤に参画することで、物流における連携をスムーズに図る狙いだ。

商用車の電動化で新興メーカー

軽商用車メーカーがこうした取り組みを積極化するのには、別の事情もありそうだ。電気自動車(EV)化で最も既存メーカーが脅かされ、新興メーカーに取って代わられるおそれが高いからだ。

EVになるとエンジン車に比べて使用する部品数は約1万点減少し、2万点程度になるといわれる。相対的に見れば開発・生産に参入するハードルも下がる。

大型商用車は10年以上使用するのが常識で、耐久性やサポートが重視されるうえに、積載量4トンの中型トラックでも1000万円前後と価格も高いため信頼性やブランド力が重要になる。一方、価格も抑えられていて、使用距離も短めの軽商用車は価格やカスタム性が競争力に直結する。

既存メーカーはエンジン車製造のために抱える大規模な工場を維持しつつ、徐々にEV製造に切り替える必要がある。自社製となれば開発費もかさむが、そこだけに経営資源を注ぐわけにもいかない。一方、新興メーカーは、製造コストの安い海外で生産するか、企画・設計に特化し製造を外部に委託するファブレス方式などでコストを抑えたEVを投入できる。

次ページ忍び寄る新興メーカー
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事