デルタ株「20〜30代」が短期間で重症化する実態 ワクチン未接種層の感染拡大が深刻なアメリカ
酸素ボンベにつながれた状態で退院したのは7月8日。体重は11キロほど落ち、仕事に復帰するまでには4〜6週間の安静と呼吸療法が必要だと警告された。もっと長くなるかもしれないとマカヴォイさんは不安を口にする。
「デルタ株で誰もが等しく重症化する可能性が高まった」。そう話すのは、ラスベガスにある大学病院で集中治療室の責任者を務めているアンジー・ホンズバーグ医師だ。
患者はこれまで、1〜2週間ほど自宅療養した後に入院するのが普通だった。入院する場合もたいていは、まず通常の病棟で治療を受け、そのうちに挿管や集中治療が必要になるという経過をたどった。
ところが今では、若い患者がマカヴォイさんのように一気に重症化するようになっている。「デルタ株は従来株とはどこか違った動きをしているのではないか」とホンズバーグ氏は言う。
「重症化リスクは高まっていない」との指摘も
ミズーリ州スプリングフィールドにある500床規模の医療機関コックスヘルスで救命救急診療の責任者をしているテレンス・コールター医師も、コロナ患者の年齢が下がり、症状が重くなっていると話す。
同氏によれば、入院患者の多くは糖尿病や肥満、高血圧といった既往症のある重症化リスクの高い人たちだが、若い患者の中にはこうしたリスク要因がまったくない人たちもいる。
「実に恐ろしいことだ」とコールター氏。「そこまで重症化するとは考えられていなかった若くて健康な人たちに影響が出ている」。後遺症が長引く場合が多く、肺に損傷が残る患者もいるという。
ただ、デルタ株は感染力が強いため、結果的に毒性が強まったように見えているだけだ、と指摘する専門家もいる。デルタ株の重症化リスクが従来株を上回るものでなかったとしても、感染者数が増えれば、重症患者の絶対数も当然増えることになるからだ。
(執筆:Roni Caryn Rabin記者)
(C)2021 The New York Times News Services
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら