これらのユニットにより、トヨタ社内の試算では200系に対して車両使用時の年間CO2排出量を、グローバルの全台数分で約10%低減できる見込みだという。トヨタは常日頃から「カーボンニュートラルが目的」でその実現のために「さまざまな選択肢を持つこと」が重要と語っているが、この2つのエンジンはランクルとしての使命を犠牲にすることなくカーボンニュートラルに向けた現時点の最適解なのだ。ただ、残念なのはこのディーゼルが最上級のZXとGRスポーツのみの設定であることだ。
中には「なぜ電動化しないのか?」と言う人もいるだろう。その理由の1つはトヨタのハイブリッドシステム(THSⅡ)の構造にある。THSⅡはバックギアがなくモーターの駆動力のみで後退させるが、ランクルの使命は「行って、帰ってこられる」であり、THSⅡだとそれが“すべての道で”保証できないのだ。ただ、トヨタの北米法人が先日BEVのbZ4Xを発表した際のリリースを読むと、「近い将来、ピックアップトラックのラインアップにも電動化を導入する予定」と記されており、将来的にはその技術が水平展開される可能性も。
安心・安全装備も抜かりなしだ。リリースには「最新のToyota Safety Sense(TSS)を採用」とあるが、プリクラッシュセーフティ/横断歩行者検知機能/緊急操舵回避支援機能、パーキングサポートブレーキなどから推測すると「バージョン2.5」のはず。ちなみに車線中央を走るようにステアリング操作を支援するLTAは通常はEPSとのセットとなるが、操舵アクチュエーター付き油圧式パワーステアリングの採用により可能となっている。
トヨタ初の指紋認証スタートスイッチで盗難防止強化
さらにトヨタ初の指紋認証スタートスイッチは、スターター中央の指紋センサーとクルマに登録された指紋情報が一致しないとエンジンが始動しないという機能で、盗難が多いランクルではありがたい装備である。細かい部分ではリアウォッシャースイッチと連動してバックカメラの汚れを落とすカメラ洗浄機能は、他モデルにも水平展開してほしいくらいだ。
価格は510万~800万円と200系(482.68万~697.4万円)と比べると上級グレードがかなり高めに感じるが、これはディーゼルとGRスポーツが新たに追加されたため。仮にガソリン車の同グレードで見ると約30万円高といった感じだが、性能・機能・装備アップを考えるとほぼ据え置きといっていいだろう。
このように長年にわたる「技術の積み重ね」と「最新技術」の融合により、「世界中のどんな道でも疲れない走り」を実現した300系。正式発表前の7月から先行予約が行われているようだが、受注台数は何と2万台を突破していると聞く。そのため、これから注文しても納期は最短1年以上、グレードによっては2年以上という話も……。トヨタにとってはうれしい悲鳴だが、筆者としては転売目的ではなく本当に欲しい人に早く届いてくれることを願っている。
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