米国債利回りが低下している理由が分からないと自分を責める必要はない。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長もあなたの仲間だ。
インフレ率が13年ぶりの高水準に急上昇したにもかかわらず、米国債は何カ月にもわたり値上がりし続けている。しかし、経済学の教科書やウォール街の通説によれば、利回りは低下ではなく上昇するはずだ。
パウエル議長は28日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、長期債の利回り上昇に関する問いに答え「前回の会合から今回会合までの動きの理由について実質的なコンセンサスはないと思う」と述べた。
政策発表後に米10年国債利回りは一時1.7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して1.22%になった。3月終わりごろに付けた1年ぶり高水準の1.77%からの低下が続いている。さらに驚くべきことに、一部投資家が長期的な成長見通しの指標と見なす10年物の実質利回りは過去最低のマイナス1.17%となった。
3つの理由
パウエル議長は利回り低下について考えられる理由を3つ挙げた。新型コロナウイルスのデルタ変異株流行で成長鈍化懸念が広がり実質利回りが低下したためというもの、投資家のインフレ期待の低下によるというもの、そして最後はいわゆるテクニカル要因だ。
トレーダーがタイミングの悪いショートポジションを解消するなどのテクニカル要因に一部投資家は同意している。金融当局による月1200億ドル(約13兆1700億円)の購入を理由とする説もある。当局が低金利を長引かせる新たな政策枠組みから遠ざかる姿勢を見せたため、景気拡大が鈍るとの観測が出たという意見もある。
パウエル議長は28日、投資家が連邦準備制度の信頼性に疑問を抱いているという説は否定し、政策の枠組みは十分に理解されていると主張。真の試練は実際に利上げをしたときに訪れると論じた。
原題:Not Even Jerome Powell Gets What’s Up With the Bond Market(抜粋)
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著者:Ye Xie、Chris Anstey
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