英語より、「おもしろ描写力」を磨きなさい! グローバルで必要なのは、異次元の人に「伝える力」
狩野:ははは……、そんなに厳しかったかなぁ。
教え子A:先生、今でも授業で「描写」、やっているんですか。
狩野:やってるよ。内容もバージョンアップしたしね。君たちが経験していないお題としては、「東京スカイツリーを、江戸時代の人に描写する」っていうのがある。
教え子A:僕もまた出たいなあ、授業。
狩野:じゃあ、今日は特別授業しちゃおうか。久しぶりに描写、やってみる? まずは、おさらいから。グローバルな描写力に不可欠な、「描写の3つのキモ」、覚えてる? でもその前に「なぜグローバル時代に描写力が必要なのか」というところをもう一度、おさらいしておこうか。
動画全盛の時代に、なぜ「言葉で描写」なのか
言葉で描写するというのは、写真や実物を見せることなしに、相手に「そのモノ」をまざまざとイメージさせる、ということ。「なるほど、わかったぞ、そういうモノね」と、相手の頭の中にそのモノのイメージがくっきりと浮かび上がる。それが「よい描写」です。
描写力は、グローバルで通用する「伝える力」の大事な一部なのです。
こう言うと、「今の時代、タブレットやスマホで『そのモノ』の写真や映像を見せることができるのだから、言葉でわざわざ描写する必要なんてないんじゃないの?」と思われるかもしれません。でも、間違いなく、描写力は圧倒的に役に立つスキルなのです。
グローバルプレゼンテーションのお手本とも言える、TEDトークをご覧になると、この点は明らかです。TEDに登場するプレゼンの名手たちは、心に響くストーリーを語るとき、必ずと言っていいほど「描写」をしています。その人、そのモノ、その動作はどんな見た目だったのか。写真を補助的に使うこともありますが、基本的には言葉で語り尽くします。
なぜ言葉を使って描写するかと言うと、理由は2つあります。ひとつ目は、話を面白くするため。誰かがモノを描写するというのは、「その人が見たまま、感じたまま」にそのモノを言葉で再現する、ということです。その人の「視点」というフィルターを介しているからですね。
「描写」には、写真ほどの緻密さや客観性はないかもしれませんが、そこにはその人独特の見方や解釈が入り込んでいます。その人なりの解釈があるからこそ、「客観的な」写真を見せられるよりも面白くなります。また、その人と同じ視点でその「モノ」を追体験しやすくなるのです。言葉による描写は、その人にしか伝えられない、「究極の臨場感の演出」と言えます。
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