「上司が暴走!」己の失敗を認めない人への対処法 失敗が見えてもやめられないのは責任感の過熱
それが称賛に値することもある(高いレベルの成果をもたらそうとする姿勢など)が、自分でほぼコントロールできない要素にもとづいて下した決断の場合は、決して有効な策ではない。
状況をコントロールする力を過信すると、あっという間に責任感の過熱に陥ってしまう。リーダーがこの状態になると、チーム内には、何を言っても無駄だという空気が広がり、彼らの自律性や自制心が蝕まれる恐れがある。
責任感の過熱に陥った人が発する言葉
仕事を実行するモード、すなわち赤ワークの最中に責任感の過熱に陥った人は、次のような言葉を口にする。
❖「もう決めたんだから」
❖「やることになっているのだから、抵抗しても意味がない」
❖「いいからやるぞ」
❖「無駄でもやるんだ」
❖「失敗という選択肢はない」
沈没した貨物船〈エルファロ〉の船長の言葉にも、責任感の過熱が表れていた。
❖「あらゆる天候のパターンから逃れるなど不可能だ」
❖「大丈夫なはずだ。いや『はず』ではいけない。大丈夫にするんだ」
また、乗組員からの、ハリケーンに向かって進んでいるという意見に対し、次のような反応を見せている。
❖「この船なら耐えられる」
❖「おいおい、わかってないな。この船は方向転換しない。方向転換はありえない」
❖「アラスカでは毎日こんな感じだ。これがふつうだよ」
いずれの言葉にも、「ほかの選択肢を選ぶつもりはない」という船長の意思が見て取れる。
船長は、会社の上司に宛てたメールのなかで、復路を変更する許可を求めることまでしているし、ブリッジでも船員たちにこのことを2回告げている。
復路を変更することは気軽に口にするのに、往路を変えることについては頑なに口にしないのはなぜか? 責任感の過熱のせいだ。
責任感の過熱に陥らないようにするには、赤ワークを小さく分割したり、赤ワークの時間に関する捉え方を改める必要がある。赤ワークの時間=実行する時間と見なすだけでなく、その時間は学習の機会であるともとらえるのだ。
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