「上司が暴走!」己の失敗を認めない人への対処法 失敗が見えてもやめられないのは責任感の過熱
そうすれば、間違った、あるいは間違っている可能性があるという判断をしやすくなり、赤ワークから抜け出しやすくなる。
人は、自分の能力のなさが他者に露呈したり、自分自身がそれを思い知らされることを恐れる。こうした自我を脅かされることへの恐れが、責任感が過熱する最大の元凶だ。
『GIVE&TAKE』の著者で心理学者のアダム・グラントは、責任感の過熱を防ぐ方法のひとつとして、決断する者と決断を評価する者を分けることを紹介している。そうすれば、決断した人の感情的な思い入れが評価からはずれることになる。
インテルの経営者アンドリュー・グローブとゴードン・ムーアは、この方法を用いて成功した。ふたりがクビになったという想定で社員たちに思考実験を行わせ、会社の将来の方向性を決めさせたのだ。
ふたりは当時インテルの経営を担っていて、メモリーチップの成功で莫大な富を得た。しかし、メモリーチップ市場が飽和状態となり、利益が圧迫されるようになった。
そこで彼らは思考の青ワークを通じて、新製品のマイクロプロセッサに会社の命運を賭けるかどうかを決めることにした。そのときに行われた思考実験では、過去の決断をすべて切り離すことが許された。
配置換えも効果的
そのおかげで、過去をすべて忘れて新しい方向へ進むことが可能になった。つまり、決断を下した当事者(メモリーチップの考案者)としての自分と、その決断を評価する者としての自分を切り離し、過去のやり方にとらわれることを防いだのだ。この方法は見事に機能した。
企業で重役がさまざまな立場を持ち回る配置換えも、責任感の過熱を防ぐのに一役買うシステムだ。前職が下した決断に関与していない人が新たに責任者となれば、成功しそうにないプロジェクトを率先して廃止する。
カリフォルニアの銀行では、ローンの貸付に失敗したマネジャーについて調べ、マネジャーを配置換えする回数を増やしたら、ローンを返済できなかった人にさらに貸し付ける傾向が減ったという。
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