マイホーム購入で「FIRE達成」は遠ざかるのか 「引退後の家賃」を試算したことがありますか?

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FIRE成功者やファイナンシャルプランナーは、住宅の購入なども「資産形成の一部」と考えています。ですから住宅購入もシビアに判断します。広い家がほしければ駅から遠く、あるいは郊外に移動する選択もためらいませんし、逆なら狭い家でも許容します。

新築、中古物件についての評価も冷静です。新築物件は、住宅が長持ちするという意味では最上です。しかし「新」というだけで割高でもあります。築5年の中古物件が10〜20%くらい割安になったとしたらその差は数百万円にもなり、無視できません。

一方で中古物件に飛びつくわけでもありません。自分が死ぬまでそこに住めるか(あるいはその家を手放すときに買い手がつく価値があるか)を考慮して物件選びをしています。

徹底的に仕事で稼いで、徹底的に節約をして貯め、効率的に増やす方法を模索することは大事ですが、そこに「家を買う」も織り込む必要があるわけです。

FIREに必要なローン計画

家を上手に買うためにはまず、無理のない価格水準の物件を選び、可能な限り低金利でローンを組む必要がありますが、できる限り多くの頭金づくりとできうる限り短い返済計画を立てることがFIRE実現のためにも必要になります。

頭金を多く持つことで、まず借入額を減らします。そして借入額が減るほど完済は近づきますし、ローンにかかる利息を軽減できます。

返済計画を短くすることは、FIRE成功後にローン返済を残さないために欠かせません。また、返済計画を長期に設定するほど利息もかかり続けるため、短期返済を設定するほうが有利になります。

『普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

以前、新聞報道で、住宅ローン返済の年齢が今や平均73歳だという記事がありましたが、これではFIREどころではなく、73 歳まで現役で働くことを認めてローン設定しているようなものです。FIRE志望者は45歳で返済が終わるくらいの計画を立ててもおかしいことはありません(その分、返済計画は大変ですが)。

住宅購入は頭金と返済を考えると数千万円の「寄り道」に思えるかもしれません。家を買ったらFIREから遠ざかるのではと考えてしまいます。

しかし寄り道と考えるのはあまり適当な理解ではありません。家賃はいつまでたっても支出ですが、住宅ローンは借りたお金を返し続けるプロセスであり、最終的には持ち家を資産とすることができます。

「家を含めてFIREのプランニングが必要なのだ」と考えるべきでしょう。

山崎 俊輔 フィナンシャル・ウィズダム 代表 ファイナンシャルプランナー

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やまさき・しゅんすけ / Syunsuke Yamasaki

1972年生まれ。中央大学法学部卒業。企業年金研究所やFP総研を経て2001年独立。全国紙などで連載。著書に『普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門』など。

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