子どもの弱点が「親の思い込み」かもしれない理由 人に迷惑をかけず時代や社会に順応できるならOK

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このように、よほどのことがない限り、子育ては結構いい線行ってるものです。でも、多くの母親は不安に苛まれるようです。理由は簡単、誰もそれでいいとは言ってくれないからです。これからも言ってはくれないでしょう。そんなときは、子どもの未来像や未来社会に目を向けるといいと思います。

その“問題行動”、何かが伸びてるサインです

子どもの言動で問題があると感じても、その延長線上を見るように努めるのです。

「うん、ウチの子は夕飯のとき、よくこぼしてばかりいるけど、その延長は?」

ここでは前向きな方向性は何も出てきません。だとしたら、それは紛れもなくきちんと注意すべき事柄です。

「ご飯のあと、お菓子ばかり食べている」

この延長線上には、自堕落な生活しか見えません。こうした生活習慣も改善するように促すべきです。

「ウチの子は、寝る瞬間まで元気に遊んでいる」

この延長線上の姿を見ていくと、

「寝る直前までやりたいことがあるのだから、活発だと言える。それに、やりたいことがあるのは、自分で物事を考え決断している証拠だ! うん、間違いない」

となれば、今までただうるさかっただけの子どもが、将来有望な可能性を秘めた子に変化して見えるものです。また、このとらえ方も正解です。自分で考え決断するのは、主体性を身に付けている証しだからです。こうした積み重ねが、誰かに依存せず自分で意思決定していく生き方につながっていくのです。

それでも、躊躇する母親はいます。聞いてみると、

「私の見極め自体、正解なのかどうかわからないんです」

というのが理由です。でも、間違っていてもよいのです。

親だって、初めて親稼業に就いているのです。子育ても失敗の連続のはずです。それでも、99の失敗を経て、貴重な1にたどりつけばいいのではないでしょうか。たった1の正解が、子どもの人生を左右する貴重な発見であることは否定できません。

『お母さんが知らない伸びる子の意外な行動』(草思社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

正解、つまり成功という結果に向けてもがいている過程こそ大切なのです。完璧な成功など、誰にもわからないはずです。その子は、この世にたった1人の存在であり、その子にとってのベストなど、どこにも書かれた答えがない以上、1人ひとり探していく以外、道はないのです。そうした中で、

「今の弱点って、もしかしたら長所かも……」

と考えることは、とても楽しい時間になるはずです。わが子のよさを再発見する経験になるからです。だとしたら、自虐的に自分を責めたり、ほかの子をうらやんだりしている時間すらもったいないものです。

親が将来の幸せを願って教育した結果できあがるのが、わが子というものです。愛と真心を注いで育てた方法が、そうそう間違っているはずがありません。

「お母さん、今のままで十分いい線行ってますよ」

私が声を大にして言いたいのは、まさにここなのです。

齋藤 浩 公立学校教師

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さいとう ひろし / Hiroshi Saito

1963(昭和38)年、東京都生まれ。横浜国立大学教育学部初等国語科卒業。佛教大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)。現在、神奈川県内公立小学校教諭。日本国語教育学会、日本生涯教育学会会員。これからの時代に合った学校教育の在り方を研究している。著書に『子どもを蝕む空虚な日本語』(草思社)、『理不尽な保護者への対応術』(学事出版)などがある。

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