甘党の人ほど「イライラしやすい」科学的根拠 糖への依存度は「麻薬を超える」という衝撃事実

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「果汁100%の果物ジュースならヘルシーに違いない」と思うかもしれませんが、ここにも落とし穴があります。果汁100%で、原材料名を見ても砂糖も異性化液糖も使われていないとしても、そもそも甘い果物は糖質でしたよね。その果物を使ったジュースなので、当然、糖質量は多いのです。

リンゴジュースもオレンジジュースもグレープフルーツジュースも、ヘルシーなイメージはありますが、コップ1杯(200mℓ)に20g前後の糖質が入っています。しかもジュースにすることで食物繊維がほとんど失われてしまうので、果物をそのまま食べるよりも、血糖値を上げやすいのです。

ヘルシーなジュースを飲みたいなら、果汁の入っていない野菜ジュースを選びましょう。たとえばトマトジュースは、トマトに含まれているリコピンが血糖値を下げる働きがあると言われています。

また、身近な飲み物でおすすめなのが、コーヒーです。コーヒーに含まれている「クロロゲン酸」には、血糖値の上昇を抑えたり、脂肪の燃焼を促したりという、うれしい作用があるのです。ミルクや砂糖を加えず、ブラックで飲めば、食後高血糖予防になります(ただし、飲みすぎには注意してください)。

糖の依存度は麻薬よりも強い

よく「甘いものは別腹」と言われますが、甘いお菓子、甘い飲み物ならいくらでも入ってしまう人はいませんか?

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糖には依存性もあります。依存度は麻薬よりも強いという研究結果さえあります。糖は脳の報酬系をダイレクトに刺激するため、甘いものを食べると幸せな気分になるのですが、その反動で「もっと」と欲してしまい、止まらなくなるのです。

食後や間食に甘いものを食べるのが習慣になって、食べないと気がすまない、食べずにはいられない状態になっていませんか? そういう人はすでに糖依存ができつつあるのかもしれません。血糖の変動があまりない人、糖依存のない人は、イライラしてもそんなに糖分を欲しません。

イライラすると甘いものがほしくなる、何かと理屈をつけてお菓子を食べてしまう、ちょっと口寂しくなると甘いものに手が伸びる人は、口にする量にかかわらず、「かくれ高血糖」が潜んでいると考えたほうがいいでしょう。

池谷 敏郎 医学博士/池谷医院院長

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いけたに としろう / Toshiro Iketani

1962年、東京都生まれ。医療法人社団池谷医院院長。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。1997年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとして、数々のテレビ出演、雑誌・新聞への寄稿、講演など多方面で活躍中。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。著書に『体内の「炎症」を抑えると、病気にならない!』(三笠書房)、『「血管を鍛える」と超健康になる!』『血管の名医が教える15歳若返る習慣』(ともに知的生きかた文庫)などがある。

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