イエレン財務長官が前政権の対中貿易合意に疑念 対中関税賦課という方法は思慮深いとはいない

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トランプ前米政権が中国との間で昨年1月に締結した第1段階の貿易合意の成果について、イエレン米財務長官はニューヨーク・タイムズ紙との先週のインタビューで疑念を示した。米中合意の将来に関し、バイデン政権として詳細な考えを表明するのは初めて。

イエレン長官はその中で、「私自身の個人的見解としては、対中関税賦課の方法はあまり思慮深いものではなかった」と指摘。「関税は消費者に対する課税であり、一部のケースでは、米国の措置は自国の消費者に害を及ぼしたと見受けられる。そして、前政権が交渉したような合意では多くの点で中国について米国が抱える根本的な問題に対処できなかった」と述べた。 

イエレン財務長官Photographer: Valeria Mongelli/Bloomberg

 

新たな貿易合意が年内に決着するかどうかは不明

バイデン政権は合意を継続させるか破棄するか、何か新しいものに置き換えるか判断を下す必要がある。米中双方が多くの輸入品目に関税を課す状況にあって、第1段階合意はせいぜい「停戦」にすぎない一方、香港や台湾、人権問題、新型コロナウイルス感染症(COVID19)の発生源などを巡る緊張の高まりで両国関係が悪化し続ける中で一定の安定をもたらす領域にもなっている。

米国が対中政策の見直しをいつ終えるのかについての兆しは見られず、貿易合意の将来が年内に決着するかどうかは不明だ。ただ、シャーマン米国務副長官が訪中するかどうか両国が合意できずにいる様子を見る限り、近いうちに対話が行われる期待は持てそうにない。

原題:Yellen Expresses Doubts on Results of Trump’s China Trade Deal(抜粋)

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著者:Bloomberg News

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