菅直人新政権で経済政策はこう変わる
新たに発足した菅直人新内閣は、9月の任期満了までの暫定的内閣となるが、政策運営にはどんな変化が生じるのか。
財政再建推進、国民新党との関係に注目
仮に菅内閣で想定される経済政策の変化は、バークレイズ・キャピタル証券の森田京平・チーフエコノミストによれば、(1)消費税引き上げや財政再建への前向き姿勢、(2)日銀に対するインフレターゲット的な要求の高まり、となる。
消費税については、今月中にまとめる「中期財政フレーム」や「財政運営戦略」、参院選に向けた新マニフェストで、消費税引き上げの具体的な時期や率を盛り込めるかだ。6月末にカナダ・トロントで開催されるG20首脳会議で、財政再建策をアピールできるかが焦点となる。
ただリスクはやはり、「国民新党との連立構造にある」(森田氏)。日銀による国債直接引き受けさえ「よし」とし、財政出動要請の強い亀井静香代表率いる国民新党と菅内閣の折り合いが、はたしてつくのか。場合によっては「“第2の普天間”にもなりかねない」(同)。
金融政策については、菅氏は消費者物価指数の1%以上を期待し、日銀に対して、インフレターゲット導入を迫るような要求をしてきた。
一方の日銀は、デフレ脱却では協調姿勢を示し、明確なインフレターゲット導入は行わない代わりに、昨年12月に新型オペを導入。今年3月にはオペの規模を拡大して、短期金利低下を促してきた。
5月には環境・エネルギーなど成長分野への融資を前提に、民間銀行に0・1%の固定金利で1年間貸し出す制度の導入を発表。