光浦靖子「エッセイスト」としても超一流な理由 文章の世界でも輝く彼女の「自分イジリ」の才能
さらに光浦さんはこんな風に続ける。
「マジでやばい! リアル緊急事態なはずなのに、不思議と心は穏やかです。コロナで留学もできず今は生殺し状態なのに、行動を起こさなくても、決心するだけで心境は変化するようです。相変わらず、金のかからない女です」(以上「文藝春秋」2020年 月号「巻頭随筆」より)
パートナーがいない。子どももいない。誰にも必要とされていない。一見辛そうに見えるが、じつは身軽であるということはとても魅力だ。好きなところにいつでも行っていい。好きなことをやっていい。こんな幸せなことはないはず。
彼女には、客観的に自分自身を見る力がある。これは生きるうえで大きな武器だ。自分をおちょくれるってすごい才能だ。他人をイジるのが上手くても自分がイジられると逆上する人が多い。
「自分イジり」の天才
光浦さんは自分で自分をイジっている。しかもそのイジり方が見事だ。光浦さんの文を読んでいて、ここは私も似ていると思うところがある人も多いのではないだろうか。
誰にも必要とされないと自ら言える光浦さんが、どんな風にこれからの50代を生き抜いていくかとても楽しみで目が離せない。そんな人が徐々に多くなっていくのではないだろうか。
そんな光浦さんにこそ、二十数年いまだかつてないブレイクがやってくる可能性もあるように思う。もちろん、何でもアリ。誰よりも身軽なんだから、好きなようにすればいいのだ。
たこ糸の切れた凧が中年の輝く星になることだってあるってことを、彼女は目に物を見せることができるような気がする。ものすごく楽しみだ。
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