日経平均が下落でも「年末3万円超」は不変のワケ 海外投資家は今の日本株をどう見ているのか

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日本銀行が7月16日に公表した「展望レポート(経済・物価情勢の展望)」でも、2021年度の実質経済成長率予測値の中央値は4月の同レポート公表時の4.0%から3.8%へと下方修正された。その修正の背景として、「当面の経済活動の水準は、対面型サービス部門を中心に、新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて低めで推移する」と指摘されている。

しかし、これも前回の当コラムで述べたように、当面は製造業中心の業績回復であっても、徐々にコロナ禍を抜け出して、遅れて非製造業の収益が持ち直し、今年末までには日本でも全面的な底上げ相場になると期待してもよいだろう。

「展望レポート」でも、経済活動は「ワクチン接種の進捗などに伴い感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる」と指摘している。

前掲の実質経済成長率予測値も、2021年は下方修正でも、2022年度は2.4%から2.7%へと、むしろ上方修正された。日本株のアメリカ株へのキャッチアップにはまだもう少し辛抱の時間が必要だろうが、年内には株価が明るさをじわりと増すと予想する。

東京オリンピックは国内政治の不安定要因に?

いよいよ東京オリンピック・パラリンピック(以下、「東京オリンピック」と略す)が、23日から始まる。筆者も日本人の一人として、好悪両面で強い関心がある。ただ、当コラムは株価などの市況の動向を述べることが目的なので、その点だけに絞って語ることとする。

東京オリンピックが日本の株価にどう影響するかについては、株価形成に大きな影響を及ぼす海外投資家の声を踏まえることも重要だろう。

あくまでも筆者が接触している範囲だが、海外投資家が数カ月前から懸念し始めていたのは、東京オリンピックの日本の政治情勢への跳ね返りだった。衆議院議員の任期末は10月21日なので、通常は解散の有無にかかわらず、それまでに総選挙となる。

海外諸国から見ると、日本の新型コロナウイルス感染症の新規感染者数・重症者数・死亡者数は絶対数でも人口対比でも少ない、と認識されている。だが、国内でワクチンの供給スピードなどで国民に不満があるということは、海外でも報じられている。また、今回の東京オリンピックに対する批判も伝えられている。

そうしたなか、主要世論調査では菅義偉首相の支持率が低下しており、今月4日の東京都議会選挙でも自民・公明両党で過半数を取れなかったという報道も見聞きするにつけ、「衆院選で与党が議席を減らす」との観測が投資家の間で広がっている。

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