米資産運用会社の敗北、資金のETFへ流れ止まらず

1~7月のETFへの資金流入はすでに前年に迫る

米国で投資家が上場投資信託(ETF)に向かう流れを止めることができなかった資産運用会社は、自らその流れに乗ることにした。今ではそれが激流となっている。

ETFへの1-7カ月の資金流入は、記録のある範囲で年間記録を更新する見込みだ。今年これまでで既に4885億ドル(約53兆7500億円)と、過去最高だった2020年通年の4970億ドルに迫っている。

急増の背景にあるのは、投資信託業界の全面降伏だ。

低コストで取引しやすく、より税効果の高いETFへと投資家は移行してきた。今では、著名な運用会社もETFを設定しており、バンガード・グループのように顧客のETFへの移行を助けているところもある。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によると、米国の大手資産運用会社25社のほぼ全てがETFを提供しているか、そうする予定だ。

BIのETF担当アナリスト、エリック・バルチュナス氏は「フォーマットが変わったということだ。人々がCDからストリーミングやデジタル音楽に乗り換えたり、タクシーからウーバーに移行したりするのと同じだ」と述べた。

ETFは投信と同様、投資家の資金をとどめておく場だ。違うのは、ETFは株式のように一日中取引されていることと、仲介業者が受益証券を作り出すという運営方法のため納税について有利な点だ。

30年以上前に生み出されたETFは、2008年の金融危機以降に人気が高まった。危機後の景気落ち込みで資産運用会社への不信感が高まり、投資家は主にパッシブ運用で透明性の高いETFに引き付けられた。米国のETF資産は10年までに倍増し1兆ドルに達した。

歴史は今繰り返され、昨年の新型コロナウイルス禍による資産値下がりがETFへの新たな流れを引き起こした。

米国のETF資産は過去最高の6兆6000億ドルと、昨年の売り最悪期の3兆7000億ドルから増えている。昨年はETFに4970億ドルが流入したのに対し、投信は5060億ドルの純流出だった。

モーニングスターのETF調査グローバルディレクター、ベン・ジョンソン氏は「ストレスに見舞われた20年1-3月期がETFの構造だけでなくそのエコシステム全体の正しさを立証した。さまざまな市場エクスポージャーに加え、さまざまな投資戦略をパッケージ化して提供する適切な手段だという信頼をより多くの投資家から勝ち取った」と述べた。

ETFの資金流入ランキングでは今年も20年と同様に、バンガードが上位をほぼ独占している。

トップは2390億ドル規模のバンガードS&P500ETF(VOO)で290億ドルが流入、2560億ドル規模のバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)は215億ドルで2位だった。3位はブラックロックのiシェアーズ・コアS&P500ETF(IVV)で131億ドル、4位は再びバンガードでトータル・ボンド・マーケットETF(BND)の120億ドル余り。

バンガードの成功は主に、低い価格設定とさまざまな取引プラットフォームから購入できることが理由だが、バンガードの投資信託からETFへという資金の内部移動も一因だ。広報担当者によると、6月末までに米ETFに流入した1733億ドルのうち約100億ドルが同社投信からの乗り換えだった。

別のやり方を見つけた会社もある。今年3月に米国の投信が初めて正式にETFに転換された。最初のファンドは小規模だったが、その後に先駆的なクオンツ会社、ディメンショナル・ファンド・アドバイザーズが追随し、同社は既に約290億ドル相当をETFに転換している。

クオンツの巨人がETFに参入、わずか4カ月で10億ドルの節目突破

助言会社ETFストアのネイト・ジェラチ社長は「あらゆる既存の資産運用会社にとって、実行可能なETF戦略を持つことが最重要になる。ETFに今参入したばかりの資産運用会社は既に遅れているが、まだ参入可能だ。遅れれば遅れるほど参入は難しくなる」と話した。

原題:Wall Street Surrenders to the $500 Billion ETF Rush (2)(抜粋)

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著者:Claire Ballentine、Francesca Maglione

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