サマーズ元米財務長官は各国政府に対し、将来の感染症のパンデミック(世界的大流行)に備えて現時点で対策資金を投じることは、草創期のアマゾン・ドット・コムの株式を購入した場合に匹敵するほどの利益が見込まれると述べ、対応を促した。
サマーズ氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID19)のような公衆衛生上の緊急事態に今から備えるコストは数百億ドルの前半にとどまり、「さまざまなコストや治療措置を合算した場合、新たなCOVIDを予防すれば、その利益は数十兆ドルに上る」との推計を示した。
その上で、「それは公的部門が1990年代にアマゾン株を買い入れるのに匹敵する。公的部門はこのような機会に恵まれることは多くなく、だからこそ各国政府がそれを生かすよう望んでいる」と話した。
サマーズ氏は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に助言するため滞在中のベネチアから、ブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じた。
政策当局が講じるべき具体策としては、2008年の金融危機を受けて主要国・地域の中銀や監督当局で構成する金融安定理事会(FSB)が設立されたのとちょうど同じように、国境をまたぐ計画や対策の調整を向上させる方策を見つけることを挙げた。
さらに、国際通貨基金(IMF)と世界銀行は世界的な危機に対処するのに当たり、「さらなる創造性や創意工夫、コミットメント」を示すべきだと指摘。各国政府に対しても、現行のパンデミックでマスク調達やデータの発見、ワクチン開発・配布にかかった時間的遅れを繰り返すことがないよう、一段の資金的コミットメントを呼び掛けた。
政治家に対しても、新型コロナが問題として意識される今こそ、行動すべきまたとない機会であるともサマーズ氏は強調。「疫病や病気を根絶させることはできないが、われわれにやる気があれば、世界経済へのコストを大幅に削減することはできる」と述べた。
原題:Summers Says Preparing for Pandemics Like Buying Amazon Early(抜粋)
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著者:Simon Kennedy
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