マンション価格「人工知能の査定」が高精度なワケ デジタル化の遅い不動産業界でAIが本格普及へ

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日本で提供されている不動産テックサービスを調査している不動産テック協会によると、7月8日に公開したカオスマップ第7版に掲載した「価格可視化・査定」サービスは、約1年前に比べて6つ増えて26サービスとなった。当初から同マップの作成に関わっているNTTデータ経営研究所の川戸温志氏によると「AI査定サービスは本格普及期の段階に入った」と見ている。

SREでは、不動産ビジネスで得た知見を生かしてさまざまなAIツールを開発し、金融、旅行、エネルギー、医療福祉などにAIサービスを拡大し、いまではAIサービス全体に占める不動産の割合は10%となっている。今年3月には全国の電力データ活用を進めるグリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合に参画し、電力データと不動産データを活用した新しいAIサービスの開発にも着手した。

「DX銘柄でのグランプリ獲得でも、AI技術を不動産以外の分野にも適用して事業を拡大している点を評価していただいたようだ。実務を知っている強みを生かすために今後も不動産ビジネスは続けていく」

不動産市場の透明性は向上するのか

日本の不動産市場は、アメリカの不動産情報サービスのJLLが公表する「グローバル不動産透明度インテックス」の2020年度版で、2年前の調査に比べて2ランク下げて16位だった。欧米の上位国と比べて不動産テックの活用やデータ整備で遅れているとの評価だ。

不動産市場の透明性を高めるために、以前から日本でも成約価格の公表を求める声は強いが、プライバシー問題との関連で実現していないのが現状だ。

AI査定サービスが本格普及に入ったことで、今後は第三者が査定価格の誤差率を評価するなど、AI査定の信頼性を確保することで、不動産市場の透明性向上を実現できる可能性もあるだろう。

千葉 利宏 ジャーナリスト

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ちば・としひろ / Toshihiro Chiba

1958年北海道札幌市生まれ。新聞社を経て2001年からフリー。日本不動産ジャーナリスト会議代表幹事。著書に『実家のたたみ方』(翔泳社)など。

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