テスラの運転支援システム「人身事故続発」のなぜ 運転手の監視ゆるい?オートパイロットの盲点
テスラに対しては、今年に入ってからだけでもいくつもの訴訟が起こされている。フロリダ州キー・ラーゴで2019年に発生した事故に関連して今年4月に同州裁判所に提訴された事案も、その1つだ。
オートパイロットを作動させたテスラ「モデルS」がT字型交差点で停止できず、路肩に駐車していたシボレー「タホ」に衝突し、ナイベル・レオンさん(22)が死亡した。カリフォルニア州では、バンで走行中にオートパイロットを作動させていたテスラ車に後方から追突され、脊椎に重傷を負ったダレル・カイルさん(55)が5月に訴えを起こしている。
オートパイロットには欠陥があると提訴
ジョバニ・マルドナドさんが死亡した事故は、テスラ車に記録された動画とデータが入手可能になった珍しい事案だ。マルドナドさんの弁護士を務めるベンジャミン・スワンソン氏はテスラから動画とデータを入手し、ニューヨーク・タイムズと共有した。
ベンジャミン・マルドナドさんと妻のアドリアナ・ガルシアさんはテスラを相手取ってカリフォルニア州アラメダ郡高等裁判所に提訴。訴状では、オートパイロットには欠陥があり、交通状況に対応できなかったとしている。運転手も被告とされた。
オートパイロットが誤作動、もしくは欠陥を抱えていたとの申し立てに対し、テスラはまだ裁判資料の中で反応を示していない。ただ、テスラの弁護士を務めるライアン・マッカーシー氏がスワンソン氏の事務所に送った電子メールは法廷に証拠として提出されており、その中でマッカーシー氏は次のように述べていた。責任はテスラでなく、運転手にある――。
事故を起こしたテスラ車に保存された動画には、同車が中央の車線を飛ばしながら左右の車を追い抜いていく様子が映っている。マルドナドさんがウィンカーを出したのは衝突の4秒前。エクスプローラーは左側の車線にとどまったまま方向指示器を4回点滅。5回目の点滅で中央のレーンへと車線を変えた。裁判資料によると、マルドナドさんはバックミラーでテスラ車が急接近してくるのに気づき、元の車線に戻ろうとしたという。
テスラ車はこの動画のほぼ最初から最後まで時速約111キロを維持していたが、衝突の直前には一時的に時速112キロを超過、速度を落としたのは最後の1秒だったことが車両のデータから明らかになっている。
(執筆:Neal E. Boudette記者)
(C)2021 The New York Times News Services
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら