日本人は自動運転規制の塩梅の重要性を知らない 19世紀の「赤旗法」ごとく競争力を削がないために

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自動運転時代の「赤旗法」は誰が制定に責任を持つべきか?(写真:metamorworks/PIXTA)

お金の無駄だと思いながらも、わたしは2年に一度、車を買い替えるようにしています。そう決めてから今回で買い替えは3回目です。理由は自動運転の進歩にわたしがキャッチアップするため。実際に最新の車を使うことで経済評論家として時代から取り残されないように努力しているつもりです。

今回納車されたのが昨年末に日本カーオブザイヤーを受賞したSUBARUの2代目「レヴォーグ」です。2014年に発売された初代にも搭載されたアイサイトが進化したことに加え前後4つのレーダー(初代レヴォーグにおいても2015年の年次改良モデルからは後左右2つのミリ波レーダーが「アドバンスドセイフティパッケージ」としてオプション提供されていました)が標準装備されてより安全性能が高まったのは、ドライバーとしてプライスレスな利点だと思っています。

初代との違いは、高速道路をいわゆる前走車を追従するアダプティブクルーズコントロール機能と車線中央維持をサポートするレーンキープ機能を使って走らせた際、急カーブを曲がるときに実感できます。2代目は「カーブ前制御」機能が自動的に介入し、減速しながらカーブを曲がるため初代よりもずっとスムーズな運転ができるのです。日本車も近い将来の自動運転時代を見据えて、その運転支援技術はかなり良くなってきているようです。

50km/h以下ならなぜ手放し運転が可能に?

さて、今回のモデルチェンジからレヴォーグには渋滞時ハンズオフアシスト機能が加わりました。高速道路で時速50キロメートル(km/h)以下の渋滞になったときには、ドライバーが前を向いているなどいくつかのパラメーターでドライバー主体の正しい運転操作が継続されているとシステムが判断した場合に限って、ステアリングから手を離した状態での走行が可能です。

それはそれで進歩なのですが、なぜ50km/h以下という制限がついているのでしょう? それには2020年4月1日に改正された道路交通法が関係してきます。

昨年改正された新しい道路交通法ではレベル3の条件付自動運転を可能にしています。

少し堅い説明になりますが、国土交通省が定める自動運転車両のレベルの呼称は以下の通りです。

レベル1:アクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のどちらかが、部分的に自動化された状態。運転支援車
レベル2:アクセル・ブレーキ操作およびハンドル操作の両方が、部分的に自動化された状態。運転支援車
レベル3:特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。ただし、自動運行装置の作動中、自動運行装置が正常に作動しないおそれがある場合においては、運転操作を促す警報が発せられるので、適切に応答しなければならない。条件付自動運転車(限定領域)
レベル4:特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。自動運転車(限定領域)
レベル5:自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。完全自動運転車
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