大阪の地下を走る「あなたの知らない線路」の秘密 設備などの効率化に役立つ大阪メトロの連絡線

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これだけ長い連絡線は、大阪メトロはもちろん、全国的にも珍しい。営業線ではなく、単線でよいとはいえ、地下に2km(清水駅から鶴見緑地北車庫までを含めると約3km)ものトンネルを掘るのはそれなりに費用がかかる。逆に言うと、それだけの費用を払ってでも連絡線を作ったほうが、車庫用地を容易に確保できたり工場を集約出来たりといったメリットが大きいということになる。

鶴見検車場と鶴見緑地北車庫を結ぶ連絡線。かなり急なカーブが続く(撮影:伊原薫)

この連絡線を走る列車に、特別に乗車させてもらった。筆者が乗る長堀鶴見緑地線用の70系は、鶴見検車場を出るとリニア地下鉄用の小断面トンネルをゆっくりと進んでゆく。途中の何カ所かにあるカーブはかなり急で、連結部を見ていると「くにっ」と折れ曲がるようだ。営業線であれば、カーブを通過する際に貫通路を通る人がいることを考慮しなければならず、また乗り心地の面からも、これほどの急曲線にはできないだろう。

検査設備や人員の効率化に貢献

列車は5分ほどで、鶴見緑地北車庫に到着。横には今里筋線用の80系が停車していた。先に述べた通り、この連絡線は今里筋線の車両が鶴見検車場で検査を受ける際に通る線路なので、逆に長堀鶴見緑地線用の車両が通ることは基本的にない。鶴見緑地北車庫に70系が止まっているのは、なかなかレアなシーンである。

急カーブを抜け、鶴見検車場に到着。この連絡線は今里筋線の車両を安全に走らせるために欠かせない(撮影:伊原薫)

鶴見検車場に戻ってくると、すぐ近くには長堀鶴見緑地線仕様の80系が止まっていた。元は今里筋線用に作られた80系だが、長堀鶴見緑地線の運行に必要な車両が不足したことから、1編成がコンバートされたのだ。こうした転属がスムーズにできるのも、この連絡線のおかげ。Osaka Metroでは、このほかにも路線を越えた“人事異動”が時々行われるほか、保線用車両の共用化も実施。設備や人員の効率化につながっている。

地下鉄には、あなたが知らない線路がまだまだいっぱいある。真っ暗な窓の外に目を凝らせば、“秘密のトンネル”が見つかるかもしれない。

伊原 薫 鉄道ライター

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いはら かおる / Kaoru Ihara

大阪府生まれ。京都大学交通政策研究ユニット・都市交通政策技術者。大阪在住の鉄道ライターとして、鉄道雑誌やWebなどで幅広く執筆するほか、講演やテレビ出演・監修なども行う。

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