親の介護が楽になる!公的制度を「使い倒す」手法 独りで抱え込むと「残念な介護」になりかねない

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介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。要支援1〜2または要介護1〜5までのいずれかに認定されると、等級に応じて公的介護保険のサービスが受けられます。認定を受けるには、市区町村の介護保険課に申請書を提出します。本人または家族が申請することもでき、各市町村に設置された「地域包括支援センター」や「居宅介護支援事業所」に代行申請を依頼することも可能です。

申請すると、後日、市区町村の認定調査員が本人のもとに訪問して、認定調査が行われます。日常生活においてできること、できないこと、誰かの支援や見守りが必要なことなどを聞き取るものです。適切に認定してもらうため、認定調査のときは家族も同席して、普段の様子や困っていることなど、伝え漏れのないようにしましょう。さらに、かかりつけ医による意見書(主治医意見書)も必要で、本人や家族などから、かかりつけ医に依頼し、作成してもらいます。離れて暮らしている場合は、かかりつけ医がどこなのかは把握しておきましょう。

介護が必要な状態である場合はもちろん、病気やケガで入院した際には、介護が必要になりそうかを主治医に確認し、早めに申請を。認定調査は親が自宅にいれば自宅に調査員が来ますし、入院中なら、入院先の病院に来てもらうこともできます。申請から認定までに30日かかるので、早めに申請して、準備を進めて。認定を受けると、その効力が申請した日までさかのぼり、申請したときから介護サービスの利用が可能です。

要支援・要介護の8段階で異なるサービス

認定調査や意見書をもとに判定が行われ、申請から30日以内に判定結果が届きます。自立(非該当)、要支援1〜2、要介護1〜5の8段階で、要支援1〜2では介護予防のためのサービス、要介護1〜5では、介護サービスの対象となります。自立の判定を受けた人でも、要支援・要介護のおそれのある人は介護予防のためのサービスが受けられる場合があります。

例えば、要介護2は、立ち上がりや歩行などが自力でできない場合が多く、排泄や入浴などに一部介助または全介助が必要、というのが目安です。立ち上がりや歩行などが自力ではできず、排泄や入浴、衣服の着脱などに全介助が必要という場合は、要介護3が目安です。

さきほどの図にもあるように、介護保険サービスは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなどに入所して受ける「施設サービス」や、グループホームや介護型ケアハウスといった施設で利用する「地域密着型サービス」などがあります。

自宅で介護する場合には、ホームヘルパーが食事や入浴、排泄などを介助する訪問介護や、看護師や保健師が療養上の世話や診療を補助してくれる訪問看護、医師や歯科医師、薬剤師、栄養士などによる居宅療養管理指導のほか、訪問リハビリテーション、訪問入浴介護などの「居宅サービス」があります。またデイサービスや通所リハビリなど、送迎付きで施設を利用するサービスや、介護老人保健施設などに一時的に入所するショートステイなどを利用することもできます。

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