30代後半の結婚「4人に1人は再婚者」という現実 晩婚化のイメージは再婚者が作リ出したもの

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さて、これが初婚の35歳を超えた男性だった場合、どういうお相手の選び方をするでしょうか。筆者が相談を受けている自治体の結婚支援センターの現場の方々によると、「せっかくお金も払っているんだし、登録者も多いんだから」と、条件検索を年齢で絞ってまずは20代女性にガンガンに申し込む男性が圧倒的に多いとのことです。さらにちょっと欲を出して、「親との同居OKな方」など、条件を掛け算して申し込む方も少なくないと伺っています。

これを読みながら「当然だろう。それが何か?」という、初婚を目指す婚活男性の読者も少なからずいるのではないでしょうか。

しかし、再婚を希望する彼の条件はまったく違いました。ある程度まで候補件数を絞るために挙げた条件はたった1つです。彼はシステム関係のお仕事をしていたこともあり、お相手への検索条件を増やすほど、マッチングするお相手候補が大きく減少することはよくわかっていました。

彼が入力した唯一の検索条件

彼が挙げた唯一の検索条件。それは、「婚歴ある自分でもいいと言ってくれる女性」(婚歴を気にしないにチェックしている女性)でした。つまり、自分の相手への希望条件(20代がいい、初婚がいい、大卒がいいなど)ではなく、あくまでもお相手の気持ちへの配慮からの条件だったのです。

この彼の話は中高年の結婚において、「再婚を目指す男女が初婚者よりも強い理由」のすべてを物語っていると思います。再婚を目指す方は、法的責任のもとにおいて異性と向き合い、そして傷ついた(傷つけてしまった)過去の経験を持っている方が大半です。

もう傷つきたくない、という気持ちだけでなく、それが潜在意識であっても「二度とお相手を傷つけたくない」という気持ちをもって参加されている方が少なからずおられるのです。

ちなみにこの男性は1回目の検索で、前述した条件で画面に並んでいた女性の写真から素敵だと感じる方に、上限いっぱいまで申し込んで帰宅。そしてほどなく、彼が一番美しい、と感じて1番に申し込みボタンを押していた30歳の初婚女性と成婚されています。

直接お話を聞かせていただいたときの彼の語りに流れる「相手を思いやる優しさ」を筆者は印象深く覚えています。

天野 馨南子 ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー

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あまの かなこ / Kanako Amano

東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、99年より同社シンクタンクに出向。専門分野は人口動態に関する社会の諸問題。総務省「令和7年国勢調査有識者会議」構成員等、政府・地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・地方創生・共同参画・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『未婚化する日本』(白秋社・監修)、『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。

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