バイデン政権「北朝鮮政策」が何とも不明瞭な真因 関係各国の思惑が複雑に影響し合っている

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「バイデン政権の政策的アプローチの本質は、選択肢を最大限に活用することにある」と元米筆頭国務次官補代理(東アジア・太平洋担当)で、北朝鮮との会談経験も豊富なエヴァンス・リビア氏は言う。

「そのためにバイデン政権は、非核化という目標を語り、北朝鮮に『われわれは対話する用意がある』と伝えることが必要だ。韓国人を味方につけて満足させるために懸命になっているのもこれで説明がつく」

韓国とアメリカ、それぞれの思惑

その意味で、5月下旬にワシントンで行われた文大統領とバイデン大統領の首脳会談は大成功だったと言える。アメリカのインド太平洋調整官カート・キャンベル氏が主導した両首脳による共同声明についての交渉では、アメリカは主に中国問題で韓国を味方につけることに注力した。

韓国政府高官によると、アメリカ側から台湾と人権問題に関する日本との共同声明の文言を踏襲するよう強い圧力があったことで文言は多少和らげられ、韓国側も文書の中で中国を名指ししないように強く主張したという。

一方、文大統領にとっては、首脳会談はまさに背水の陣であった。地方選挙での厳しい敗北や、来年の大統領選挙で保守派が逆転勝利を収める懸念が強まっていることを受け、国内での支持率低下に歯止めをかけるべくサミットに臨んだのだ。

米政府高官によると、韓国政府が会談で優先したのは、北朝鮮政策の議論ではなく、新型コロナウイルス向けワクチン供給に関する支援の要請だったという。そしてアメリカ政府は、韓国軍を対象とした50万人分のワクチン提供によってそれに応えた。

文大統領はまた、自国内で人気の高いバイデン政権との親密で友好的な関係をどうしてもアピールしたかったようだ。韓国高官らは、5時間以上の会談と個人的な相性のよさによって特徴づけられた米韓首脳の関係について、まくし立てんばかりだった。

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