多数意見に「のまれる人」「打ち勝つ人」決定的な差 「ネオヒューマン」はビジネスパーソン賛歌だ
つまり、1人の人間の集まりであるエスタブリッシュメントを打ち破ることができるのも、結局は1人の人間の力なのです。1人対1人だったら勝負を挑める。まさにこのような「1人と1人の勝負」によって、人間の歴史はつくられている。ピーターさんは世界をそのように見ているのではないでしょうか。
政治に対する人々の感覚も同じです。「いまの政治は良くない」と思っている人は多い。しかし、それを変える手段であるはずの選挙の投票率は、とても低い状態です。多くの人が、ダメだけどどうせ変えられはしない、と思っているわけです。しかし、それも「1人と1人の勝負」だと考えるとどうでしょう。変えられる気がしてきます。
VQを磨き、世界を変えろ
これまで話してきたのは、ピーターさんから学ぶ、歴史を変えるために必要な「普遍的な」心構えでした。一方で、ピーターさんの特質のなかには、強く時代性を感じるものもあります。「巨大で透明なビジョンを描く力」です。
ピーターさんは、友人に宛てたメールの中で、自分の挑戦を「旅」にたとえ、次のように宣言しています。
(『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン――究極の自由を得る未来』より)
ピーターさんが成し遂げたい不老不死は「人類の夢」です。ピーターさんの奮闘は、決して自分のためだけではないのです。私利私欲を超えた、より大きなもののために戦う。そんな姿勢がまずは周りの人の心を動かし、より多くの人を巻き込んで、やがてはムーブメントとなり時代を動かします。
このインタビューをZoomで受けている私も、これをインターネットを通じて読んでいる読者の方も、すでにその一部になっているわけです。この「巨大で透明度の高いビジョン」の持つ力が、インターネットの伝播力でかつてないほどに高まっています。
昔から、IQ(知能指数)やEQ(心の知能指数)という指標がありますよね。それに加えて、今日において事をなすには、VQ(ビジョン・クオリティ)、つまり、巨大で透明度の高いビジョンを設定できる能力が重要だと考えています。このVQというのは私の造語なのですが。
例えば、イーロン・マスクやスティーブ・ジョブズは、極めてVQの高いビジネスパーソンです。興味深いことに、2人はいずれも品行方正とはとても言えません。EQが高いわけでは必ずしもないのです。過去には、素行の悪さやモラルのなさが批判を集めたことがありました。
それはピーターさんも同様です。IQは非常に高い方ですが、お世辞にも品行方正であるとは言えません。法定速度の2倍のスピードが出る電動車イスで道路を爆走したとか(笑)。本の中では人の悪口や恨み節がでることもしばしばあります。その人間らしさがまた魅力でもありますが、ピーターさんは決して聖人君子ではないわけです。
ただ同時に、VQの高さが図抜けているのも、マスク氏やジョブズ氏に通ずるものがあります。
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