新体制のスズキが立ち向かうインド市場の激戦 そしてカリスマ・鈴木修氏は経営の一線から退く

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そこでカギを握るのが2019年に行ったトヨタとの資本提携だ。スズキはEV開発でトヨタから技術供与を受ける予定。規模拡大の面ではすでにトヨタに小型車のOEM供給を行っており、今後さらに拡大する見込みだ。トヨタは小型車を得意とするダイハツが子会社に持つが、スズキは新興国で展開するノウハウに優れている。

販売先はアフリカ市場で、日本からの中古車輸出が盛んな市場としても知られ、トヨタのブランド力が高い。すでにスズキがインドで生産する小型車を「スターレット」としてトヨタにOEM供給している。

近年のアフリカ新車市場は130万台規模で、今後、トヨタへのOEM供給が増えればインド拠点の生産台数につながる。規模が増えれば調達コストの低減も期待され、結果としてインドで販売する車の価格競争力も高まる。

大型車種をどう揃えるか

スズキにとって、提携を活用してトヨタから大型車種のOEM供給を受けられれば、開発費負担が減らせるので理想的だろう。トヨタはインドで「イノーバクリスタ」(約240万円)、「フォーチュナー」(約455万円)といったSUVを展開している。こうした価格帯はスズキが手薄なだけに、仮に供給を受けられたらラインナップ拡充に大きく寄与する。

スズキはインドでトヨタの約10倍のアフターサービス網(約4000カ所)を築いており、それが販売の強みにもなっている。OEMで車種を増やせれば、首都圏や地方都市で今後進む需要の多様化に応えられる。

修会長の置き土産ともいえるトヨタとの提携をどう生かし、インドで築いた高いシェアを維持していけるか。まずは、シェア50%回復に向けた挽回策が重要になる。

中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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