「視聴率は低くても満足度が高い」ドラマの共通点 「大豆田とわ子」が好例、注目の新ドラマは?

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視聴率平均が10%を超える他のドラマにも、そうした王道パターンが目立つ。

典型的なのは、テレビ朝日系列の刑事ものや警察ものである。小ネタや個性的な出演者も見どころの内藤剛志主演『警視庁・捜査一課長 season5』、今期で4シーズン目に入った井ノ原快彦主演『特捜9 season4』、警察内部の出世競争を描く玉木宏主演『桜の塔』など、作風は多彩だが、いずれも刑事ものや警察ものの基本的なフォーマットは崩さないところに安心感がある。

4月期の「月9」枠である竹野内豊主演『イチケイのカラス』(フジテレビ系)にも、同じようなことが言える。

こちらは刑事ではなく裁判官が主人公だが、型破りな裁判官で自ら現場に赴き捜査をするという設定。法廷ドラマと刑事ドラマを組み合わせたような感じになっている。最初は主人公に反発しつつも、徐々に理解者となっていく黒木華演じる女性裁判官とのコンビには、かつての『HERO』の木村拓哉と松たか子のようなバディものの要素もある。ただ、ベースにあるのは、事件の謎を解くという刑事ものの王道パターンだ。

視聴率は低くても「満足度」の高い作品の共通点

最近は、世帯視聴率と並んで個人視聴率も取り上げられるようになった。世帯視聴率からは見えてこない、視聴者個人の顔を見えるようにしようとする流れの一環と言える。

ドラマにおいて、そうした視聴者個人の嗜好を加味した尺度のひとつに「満足度」と呼ばれるものがある。たとえば、オリコングループが全国の視聴者を対象に調査している「ドラマ満足度ランキング」は、「視聴量」「主演」「主演以外」「内容」という4項目にTwitterのツイート量を加えた「話題性」の5項目を各1~20ポイントとし、計100ポイント満点で集計したものだ。

その結果を見ると、『ドラゴン桜』や『イチケイのカラス』のように、満足度においても高い作品がある一方で、世帯視聴率の平均は10%に満たなくとも、満足度において高い数値を記録する作品もある。

たとえば、『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ、フジテレビ系)は、今期におけるそのような作品の代表だ。その満足度の推移は興味深い。第1話は70ポイントにとどまった満足度が、第2話で75ポイント、第3話で83ポイント、そして第4話では88ポイントとなり、満足度1位を獲得した。回を重ねるごとに視聴者が作品の世界にハマっていったことがうかがえる。

また、『コントが始まる』(日本テレビ系)も同様だ。初回の満足度は61ポイントだったが、第4話で81ポイントまで上昇し、満足度ランキングでも3位に入った(『オリコンニュース』2021年5月21日付記事)。

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