中学受験しない子が「将来不利にならない」勉強法 何の対策もしないと進学塾組との差は開く一方
一般的に、高校入試に必要な知識は難関中学入試に比べるとかなり少ないので、中学生向けの参考書の中には理屈の理解を重視したものもけっこうあります。
もちろん、中学受験向けの良書もありますが、それらにはやはり多くの用語知識が詰め込まれています。用語知識に圧倒されて、肝心の構造がつかめないのでは、元も子もなくなってしまうでしょう。
ともあれ、理科・社会の学習や興味がある分野の読書を通して読解力を伸ばすことができれば、国語の読解問題集は数冊で済みます。もちろん、エンターテインメント性の高いものを多く扱うこともできますし、難関中学の問題に挑戦してみることもできるでしょう。
私が中学受験組以外には難関中学受験の参考書をあまり勧めない理由の一つは、収録されている知識量が多いということ。もう一つは、そもそもその知識の中には中学受験以外では活用されにくいものが多いことです。
たとえば、動植物の名前とその生態、細かい山や川の名前、あるいは数学なら簡単に解ける問題の算数独特の解き方など。もちろん、これらの知識もその分野が大好きな子なら大いに身につければいいと思いますが、趣味として楽しむ以上の効果はたいして見込めません。
一方で、進学塾が扱うような学習内容の中には、受験するしないにかかわらず、身につけてほしい知識もたくさん含まれています。特に、算数で数の性質をテーマにする問題や、理科の実験内容とグラフを検討させるような問題は新傾向の大学入試にも直結します。
日本の細かい地名や作物名はともかく、「なぜその地域にその産業が発達しているのか」といった理解は読解力につながりますし、高校入試・大学入試で主流の世界地理の問題でもそのまま使えることが多いものです。
英語:「読む、聞く」( + 話す)を仕上げる
次に、情報が錯綜している英語について。
まず、大学入学共通テストにおいて「4技能」(読む、書く、聞く、話す)の必須化は見送られたのですが、これは改革がまったくなされなかったということではありません。文法などの知識問題が姿を消した一方で、リスニングの配点は大幅に引き上げられてリーディングと同等になっています。おそらく、難易度も上がってくるでしょう。
文法ドリルが中心の従来型の英語学習では、今後の共通テストのリスニングに対応するのは難しいと思います。なぜかと言えば、日本人が英語をネイティブのスピードで理解したり流暢に話したりするには、3つの大きな壁(発音、リズム、後置修飾)があるからです。
そして、これらの壁の高さは小学生時代に行った英語学習によって大きく変わってくる可能性があります。