ユニデンの株主総会「参加は役員のみ」の仰天事情 前会長と対立、アクティビストの存在も背景に

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その1つが、1966年の会社設立から2020年の退任まで55年間にわたってワンマン経営者として君臨してきた藤本秀朗前会長の存在だ。

藤本前会長はアメリカの連結子会社の不適切な会計処理の責任を取って2020年に退任。その代わりに義弟の西川健之氏が2020年9月に社長に就任したが、「実質的には藤本前会長が権力を握っており、西川体制は傀儡政権だった」(ユニデン関係者)という。

だが、思い通りに経営できないことに嫌気が差した西川社長は、藤本体制からの決別をうたった「新ユニデン宣言」を2021年5月に発表するなど抵抗していた。藤本前会長はこれに激怒。ユニデン周辺では「西川社長が社長に就任する際、藤本前会長が西川社長に対して多額の報酬を支払った」とされ、恩を仇で返すのかと怒った藤本前会長が西川社長に対して逆襲に出たというのだ。

前会長はなぜ株主名簿を求めたのか

前出の証券会社幹部によれば、ユニデンの株式を8%程度保有する藤本前会長は株主名簿閲覧権を行使。だが、会社側はこれを拒否したため、訴訟も辞さない方針だという。

藤本前会長が株主名簿の閲覧を求めている理由は、株主総会で社長の退任などを求める株主提案を行い、プロキシーファイト(委任状争奪戦)に乗り出すか、公開買い付けを行うことを考えているためだ。この証券会社幹部は、「6月16日時点で藤本前会長側からの株主提案は提出されておらず、藤本前会長はユニデンの買収を仕掛けようとしているのではないか」とみている。

公開買い付けを実施する場合、株主総会の議決などは要しないが、「(現経営陣からすると)総会で藤本前会長にいろいろと言われたくはないとの思いが強い」(証券会社幹部)という見立てだ。

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