ノートの高級版「オーラ」に課された2つの重責 プレミアムコンパクトにかけた日産の切り札
「ノート」といえば、コンパクトカーカテゴリーで2017年から3年連続で販売台数1位を獲得した日産1の人気モデルだ。2018年には車種別年間販売台数で日産史上、初の1位を獲得したことがニュースになったのを覚えている人もいるだろう。
しかし、このヒットの背景には、「キューブ」や「ティーダ」「ウイングロード」の販売が終了し、「ノート」からの上級移行を受け持つクルマが「セレナ」や「エクストレイル」といった別ジャンルのモデルしかなかったという、日産のラインナップ事情もあった。
つまり「ほかに買いたいクルマがない」という状況が続いていたのだ。本来ならノートより1ランク上の車種に乗っていたユーザーが、仕方なくノートにダウンサイジングしていた側面があった。
そこに日産は2021年6月15日、新たなプレミアムコンパクトカー「ノート オーラ」をオンラインで発表した。
ノート オーラは、その名のとおりノートの上級モデルで、上質感や心地よさ、美しさにこだわったクルマだという。オンライン発表会では「ノートで作り上げたコンパクトカーセグメントに、自ら挑む存在として開発した」と説明された。
車名の「オーラ」は、「気品と独特な雰囲気をもった上質なクルマとして、見る人を惹きつけ、所有する人に悦びを提供する唯一無二の存在になる」との想いに由来する。
搭載されるパワートレインは、出力やトルクを向上させて進化した、第2世代の「e-POWER」のみ。駆動方式は、2WDと4WDがラインナップされる。
コンパクトカーにe-POWERを積極投入する理由
ノートやコンパクトSUVの「キックス」、そして、今回発表されたノート オーラと、昨今の日産はコンパクトモデルにe-POWERのみを設定するモデルが目立つ。その理由は、いったいどこにあるのだろうか。日産自動車の副社長 星野朝子氏は次のように説明する。
「CO2を排出しない移動手段として、社会的にもEVへのシフトは必須だと考えており、日産はそうしたEV化をリードしていく方針ですが、約100年もの長い間、ガソリンを入れてクルマで移動するという方法に慣れ親しんできた私たちが、すぐにEVモデルへの移行へ踏み切れるというものではないと考えます」
「リーフ」でEV(電気自動車)の先陣を切った日産だが、すぐにEVが主流となるとは考えておらず、e-POWERをEVシフトへのステップと位置づけいる。ここでe-POWERの仕組みを簡単におさらいしよう。
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