「キングダムは設計が命」作者が明かす制作秘話 根底にはプログラミング的な考え方がある
大学院時代に培われた「プログラミング的な考え方」
中国の春秋戦国時代を舞台に描かれる壮大なストーリー、迫力の戦場シーン、個性的なキャラクター、仲間との絆。多様な魅力が評価を集める『キングダム』だが、原泰久氏は、作品の軸となる「プログラミング的な考え方」が、ほかの漫画にはない武器だと話す。
「プログラミング的な考え方」は、九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部、以下芸工大)の大学院時代に培われた。
「映画監督になりたくて、芸工大に行ったんです。大学では芸術と工学の両方を学ぶので、デッサンやデザインから数学、情報解析など、幅広く講義を受けました。
ものづくりが好きだったので、芸術系の講義は楽しいのですが、工学系は単位をとるために仕方なく勉強するという感じでした」
めざしているのは映画監督。大学3年の終わりに入る研究室(ゼミ)は、当然映像系の研究室と決めていた。しかし望んだ研究室は人気が高く、映画研究会の学生ですぐに埋まり、そのほかの芸術系の研究室も早くに定員が埋まってしまった。
「映像を学ぶために芸工大に行ったので、希望の研究室に入れなかったのはすごくショックでした。結局入れたのが、画像解析の研究室。そこで図らずも、プログラミングを学ぶことになったのです」