「日本の漫画」がコロナ禍もフランスで好調の理由 巣ごもりでアニメ視聴機会増えグッズが売れる
流通の停滞は、今までの顧客サービスにも影響を与えた。以前のフランスでは、日本の流行は時間差をもってフランスのファンの間に流れ込んでいた。しかし今は、日本とほぼ同じタイミングで日本の流行がフランスのファンの間に入る。コロナ前は、日本の新刊発売日にパリ・ジュンク堂に来れば、その新刊をすぐ手に入れられるという体制が整っていた。しかし、今はそれができなくなった。
「今は、航空貨物が大体月1〜2回。それでは以前のような入荷の体制が取れません。ファンは多少高くても誰よりも早く新刊を手に入れたい。そのため値段は高くても、日本からインターネットで取り寄せる人はいます」とリシャルドさんは語る。
需要はあるが、日本からの貨物の減便に対して、有効な対策をなかなか打てていないのが現状だ。「今までのお客さまを大切にするしかない。入荷頻度が増えれば違ってくるのですが……」とリシャルドさんは今の状況に葛藤する。
アニメに触れる機会が増え関連グッズの売上増
巣ごもり需要は、アニメ・漫画関連グッズの売り上げにも追い風になった。パリ市内中心部東にある共和国広場から延びるヴォルテール通り。ここではアニメや漫画の関連グッズを扱う店が軒を連ねている。
それら店舗の中に、パリでバンダイナムコグループが展開するガンプラ専門店「バンダイ・ホビー・ストア」がある。
同店および商品のヨーロッパ展開を担当するバンダイフランスの西山真さんは、コロナ禍で翻弄された昨年度の結果を、「2020年は波が激しい年だったが、結果的に前年度より売り上げが伸びました」と総括する。
フランスで外出制限が出された2020年春は、フランスにとって初めての経験ということもあり社会は動揺、売り上げにも大きな影響を与えたそうだ。しかし、その後はアニメ関連グッズの売り上げが伸びた。ガンプラなどプラモデルは、グッズに比べれば大きな伸びはなかったが、Eコマース需要とあわせて外出制限中も売り上げは止まることなく手堅く推移した。
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