中国も白旗?ベトナムの「じらし戦法」 中国に負けないベトナムから何を学ぶか(下)

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一方、中国ではどうか。中国でも、合弁経営になると中国側の権利を優先するために簡単には物事は進まない。だが、ベトナムほどは、難しくはない。人に自慢するほどの経験をしたわけではないが、交渉の成り行きを見る限り、中国のケースよりもベトナムのほうが交渉では、役者は上だ。

実は、当社はパートナーと協力して、2年前の2012年、ハノイの郊外に2.3万平方メートルの工場用地を購入した。ところがある事情で、自社工場の設立を断念せざるを得なくなった。そこでその土地を利用して、レンタル工場を経営することになった。

このレンタル工場に、多くの日本人経営者の方々が中国からの移転を目的に訪問してきた。中国で合弁事業をしている日本の経営者が、中国における反日デモや人件費の高騰から中国の工場を畳んで、ベトナムに移転することを検討しているのだ。どの経営者も中国では大変な思いをされていると聞くが、一般的には中国に比べるとベトナムの方が親日的で評価が高いと信じて来るようだ。確かにその通りなのだが、それは私の7年前くらいの「ベトナム初心者時代」の印象であり、ベトナムとの交渉を何度も経験してからは、ベトナムの方がことが簡単に進むとは、とても思えなくなっていた。

率直に言わせてもらえば、中国でうまく行かない企業が、ベトナムなら必ず成功すると考えること自体が大きな誤解である。商売気がなくて叱られるが、当社ではベトナムに移転する前にもう一度、「中国の合弁会社の再建を考慮されてはどうか」とお客様にアドバイスもしている。

ベトナム社会の4Kとは?

それでもベトナムで成功したければ、以下の4つの点に注意すれば、ベトナムのビジネスが理解できるだろう。私にまとめさせていただければ、ベトナムとのビジネスを通じてベトナム人の特徴を、日本流に「4K」で読み解くことができる。

4Kとは「コネ社会」「教育力」「交渉上手」「カカア天下」である。まず1番目は、コネ社会(血縁)である。ベトナム社会は、やはりコネがなければ何事も進まない。いくら優秀な人材で一流大学を卒業しても、残念ながらコネがなければベトナムでは、まず出世はできない。

ベトナム人のコネ社会とは、血縁や地縁が影響する。例えば北のハノイでは、南のホーチミンの人脈は通用しないといってもよい。ビジネスが大きければ大きいほど、北ベトナムで成功しようと思えば北の人脈が物を言う。南では南の地縁と血縁が大事になってくる。私の場合は、ここらへんを会得するのに、7年はかかった。

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