52万円のマウンテンバイクが示す米インフレ圧力 業界は需給ひっ迫続きさらなる値上がりを予想
米国の自転車ショップを訪れる顧客は何も買わずに出てくることが多くなっている。運良く買えたとしても昨年から繰り返し引き上げられた価格での購入となる。
フルサスペンションのカーボンマウンテンバイク「サンタクルーズ・ハイタワーCR」の価格は4749ドル(約52万円)と今年の初めから10%値上がりしている。だが在庫は底を突き、購入希望者は今夏に次のモデルが発売されるまで恐らく待たされ、より高い価格を支払うことになる。
自転車人気は、米経済に広がるインフレ圧力を物語っている。供給上の制約と世界的な需要急増のさなか、バイデン大統領にとって政治的リスクとなり得る。
他の多くの業界と同様、自転車メーカーは原材料価格の上昇や流通チェーンへの過大な負荷によるコスト増について、需要を損なうことなく顧客に転嫁できている。供給の逼迫(ひっぱく)状態が続き、需要は少なくとも来年まで高水準にとどまると予想されているため、業界幹部はさらなる値上がりを予想している。
木材からおむつに至るまで、今年はあらゆる品目の価格が上昇している。4月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で4.2%上昇。5月の数字は10日に発表される。
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バイデン政権と米連邦準備制度の当局者は、今年後半には物価上昇圧力が収まるとの見通しを示しているが、自転車業界の関係者の多くはそれより長引くと予想している。実際に物価上昇が経済により幅広く浸透すれば、来年の中間選挙を前に与党民主党に対する有権者の不満が高まる可能性もある。
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米消費者の自転車購入意欲は、新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)の初期に、公共交通機関の回避や運動の手段などとして高まった。小売業者や自転車販売業者によると、旅行や外食の取りやめ、政府の現金給付などで貯蓄が膨らんでいることが需要を押し上げている。
多くの地域で自転車専用レーンが整備され、それが維持されていることも自転車需要への追い風となっている。
その結果による需要は、低価格モデルが多く販売されているウォルマートのような大型小売店から専門店に至るまで幅広く見られている。調査会社NPDグループによると、自転車の販売は3月までの1年間で77%増加し67億ドルとなった。1台当たりの平均購入額は27%増加した。
原題:A $4,749 Bike Hints at Inflation Peril Looming for U.S. Economy(抜粋)
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著者:Justin Blum
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