スピード違反がなくなる装置?「ISA」が義務化へ 欧州では2022年から。日本への導入はいつ?

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Euro NCAPでのISA評価の項目は、以下の4点だ。

■ドライバーに現在の制限速度を知らせる。

■車両の速度が設定した速度しきい値を超えたとき、ドライバーに警告する。

■ドライバーのアクティブな動作によって、車両が設定した速度を超えないようにする。またはその速度を維持するようにする。

■条件付きの制限速度や標識のない制限速度を正確に認識し解釈する。

2019年のEuro NCAPでは56車種が評価対象となり、ISAについてはこのうち26車種でADAS(高度運転支援システム)向けの車載カメラを使って、路上の道路標識から制限速度を読み込んでいる。また、56車種のうち17車種が、デジタル地図情報を用いた制限速度の認識を行っている。

この評価で満点を獲得できたのは、車載カメラとデジタル地図情報を併用するシステムだった。

こうした車載カメラとデジタル地図情報との融合については、ドイツの自動車部品大手コンチネンタルがメディア向けに開催したオンラインセミナーの中で、ISAの実用化に向けての詳しい説明があった。

それによると、同社の子会社であるドイツのソフトウェア開発企業Elektrobit(エレクトロビット)、デジタル地図情報関連企業のHERE(ヒア)と連携し、車載地図とクラウドベースの地図との併用化、またエンジンやモーターとに対する制御等について「自動車メーカーと(ISAの次のステップの量産化に向けた)協議を進めている段階だ」という。

なぜ、今「ISA」義務化が始まるのか?

ヨーロッパでのISA義務化のタイミングは、さまざまな量産技術が市場で整ってきたことに深く関係している。

例えば、画像認識用の車載カメラは、2010年代前半から中盤にかけて衝突被害軽減ブレーキの装着車がグローバルで増加。特にヨーロッパでは、イスラエルのモービルアイ(現在はインテル子会社)が開発した単眼カメラを使ったソフトウェアがボルボを筆頭に広がり、ドイツのコンチネンタルやボッシュ、フランスのバレオ等が追随した。

ボルボS60/V60のセンサー部(写真:Volvo Cars)

また、EUでは、事故発生時に自車位置やエアバック作動の情報を各地の情報センターに送信する仕組み「eCall(イーコール)」の装着を、2018年4月発売以降の新車に義務化している。

次ページ日本でISA義務化のハードルが低いといえるワケ
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