セブン-イレブン、海外拡大に期待できるワケ 国内で培ったノウハウを海外にも伝授

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セブン─イレブンの海外店舗に日本式の事業インフラを導入するための新たな一歩となるのが、来年夏に予定しているUAE・ドバイへの出店だ。海外出店では初めて準備段階からSEJが関わっており、中東への初進出というだけでなく、海外展開の新たな方法として大きな意味を持つことになる。

2020年のドバイ万博に向けて、中小小売業の近代化を目指すUAEが理想のチェーンとして目を付けたのがSEJだった。進出要請はSEIではなくSEJに持ち込まれたため、ライセンス付与は従来通りSEIが行うものの、ライセンス契約と同時にSEJによる支援契約も結ばれるという、新しい形となった。SEIのドバイ駐在事務所にSEJから4人が出向する。

2年前に案件が持ち込まれて以降、市場調査を実施。3兆円というUAE小売市場の中で、コンビニは200億円と小さい。成長の余地が十分にあるほか、「国が大きくないため、物流は構築しやすい」(酒井良次常務)と判断。来年夏から3年間で100店舗をドバイに集中(ドミナント)出店する中で、ドバイ以外の地域への出店も模索する。

こうした新たな海外展開で実績が残れば「進出先の熱意や市場があれば、最初からSEJが関わる形で海外展開する可能性はある」(酒井常務)という。

進まない既進出国へのSEJ支援

ただ、既存ライセンシーについても「底上げが必要」(酒井常務)という認識は強く、SEJによる支援プログラムをスタートさせている。

各社の出店競争が激化し、不振店の増加に見舞われていた韓国では、2012年にSEJによる支援プログラムを導入。店舗展開を量から質に転換するために、SEJから6人程度が毎月定期的に韓国を訪れ、店舗開発や店舗運営、店舗経営相談員(OFC、オペレーション・フィールド・カウンセラー)の教育、商品開発・物流についてサポートしている。

このほかモデル店舗を設けて、徹底的に市場調査を実施。品ぞろえやレイアウトの改革、店員の教育などを図った結果、2年半経過した現在でも、日販は2桁成長を遂げているという。

しかし、この支援プログラムを導入したのは韓国のみにとどまる。「相手先の意向もあり、押し付けるわけにはいかない。国内事業が中心だったSEJ側の人材にも限りがあり、なかなか手を広げられない」(酒井常務)という事情も影響している。

韓国の運営会社「コリアセブン」のJung Seung InCEO(最高経営責任者)は、7月上旬にも来日して、SEJのOFC教育を確認したという。酒井常務は「就任以来、非常に前向きに取り組んでいる。これから日本流取り込みのスピードが上がると期待している」と話す。

韓国が軌道に乗れば、他の既存ライセンシーに提示する具体的な成功例となる。また、SEJからSEIには執行役員も含めて出向するなど、ライセンスを付与する側のSEI自体の改革も進められている。

セブン─イレブンは、むやみに進出国・地域を拡大する戦略はとっていない。複数のアプローチにより、海外におけるセブンイレブンの「質の向上」を図ることで、収益の引き上げにつなげる方針だ。

世界全体での売上高を16年2月期に10兆円規模にする計画を持っているセブン─イレブンの14年2月期売上高は8.2兆円。さまざまな取り組みによる進出国での日販増が、目標達成に向けた鍵となっている。

 

(清水律子 編集:田巻一彦)

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