競争力減退が著しい日本の航空業界、外資規制を撤廃すべきだ--ジョバンニ・ビジニャーニ IATA(国際航空運送協会)事務総長兼CEO
金融危機で凋落した航空業界。日本航空が破綻に追い込まれたほか、燃料費の高騰などで業界の経営環境は悪化している。その一方で、中国をはじめ新興国市場が台頭するなど、世界の勢力図は大きく変貌してきた。
生き残りに向けた動きは激しく、米国ではユナイテッド航空とコンチネンタル航空の合併により世界最大の航空会社が誕生するなど、新たな業界再編は待ったなし。長年業界を率いてきたIATA(国際航空運送協会)のジョバンニ・ビジニャーニ事務総長に、航空業界の将来像や課題について聞いた。(インタビューは4月中旬に実施)
--アイスランドの火山噴火による影響は予想以上でしたね。
同時多発テロ後に米国で3日間空港が閉鎖されたときよりも大きい規模だ。航空業界は収益ベースで1日当たり4億ドルの損失に達した。航路変更にかかわる燃料費のほか、ホテルや食事、通信費など顧客ケアのためのコスト増にも直面した。各国政府と各空港はセオリーではなく、状況を的確に見極めたうえで、柔軟に空港再開を決定すべきだ。
--足元の航空業界の経営状況は回復見込みのようですが、下振れリスクも懸念されます。
2010年の最終損失は28億ドルと引き続き赤字になる見通しだが、09年の最終損失(94億ドル)と比べて改善される見込みだ。
リスク要因としては三つある。まず燃料費高騰だ。今年の原油の前提は1バレル=79ドル、業界全体で1320億ドルを予想している。昨年の1130億ドルに比べて負担が膨らむ。しかも最近は1バレル=85ドル以上という高い相場も見られる。
輸送量の回復は歓迎すべきだが、景気回復を織り込んで燃料費がその分吊り上がってしまう危険性が高い。一方、燃油サーチャージ(燃油価格に連動する付加運賃)は以前のように上げるのが難しく、これもコスト増要因だ。