開発現場で多発する鬱病、社長陣頭指揮が示した意義
現在、OSTの本社は東京・新宿区の駅上にそびえ立つ「オペラタワー」にあるが、かつては住宅街にあり、初めての来訪者はよく道に迷った。だが今は駅と直結、雨の日も濡れることはない。レストラン街もあるので昼食時も困らない。「グループの重要部門という位置づけを強調する意味でも、こうした環境は必要。社員中心の会社であり、誇れる環境の中で仕事することが、会社の発展にもつながる」と天野社長。
さらに一昨年からは、専門部署として「メンタルケア相談室」を設置した。その業務内容は幅広い。
基本は、メンタルヘルスに関する取り組み姿勢を理解してもらうことに始まり、休職者のサポートなどを行っている。毎月1日に全社員に「ストレスチェック」を受けてもらうほか、定期的に面談も実施する。メンタルシック(ストレス)を感じたら必ず相談室に相談してもらう、必要に応じて家族にも連絡することを了承してもらうなど、「業務組織とは分離して、安心して相談できる窓口を目指している」(小杉佳代子・メンタルケア相談室長)。
入社3年までが重要 手厚い新人向け対策
毎月行うストレスチェックは、保険代理店大手で、メンタルヘルスケアでも実績の高いアドバンテッジリスクマネジメントに委託した。
内容は、「エムトップ」と呼ばれるWeb上で約70問、10分程度のアンケートに答えてもらい、その場で現在のストレス状況がわかるようになっている。社内における自分のストレスの高さ、過去の自分との比較が可能だ。半年前までさかのぼって変化を見ることで、その結果がよくない場合は相談室が対応する。「早期発見が重要。特に環境が変わった社員には定期的な面談を実施する。近くにいる社員が、様子がおかしい、と気づいて報告してくるケースもある」(小杉室長)という。相談を受けた後は、専門医の紹介や所属長との対応協議など速やかな対応と同時に、メンタルシックが発生した場合は、再発防止のために原因も究明する。