「バーガーキング」日本で最近人気が急上昇のワケ 若者の間で知名度がぐんぐんアップしている
同氏が特に気を配ったのがオペレーション面。全国123店舗(2021年5月27日時点)で作業環境も作り手もさまざまな中、同じ品質を提供できるような商品づくりを心がけた。例えばバンズにチーズがのっている分、どうしても厚みが出る。トースターであたためる際、支障を来さないよう調整に苦労したそうだ。
このように、商品開発は商品開発として思いがありながらも、ブランディング戦略とうまく一体化しているのが同社の大きな特徴だ。
過去にも例がある。
2020年10月に発売された期間限定のザ・フェイク・バーガーだ。広告写真ではバンズに挟まれた具材の部分にモザイクがかかっており、中身が何かわからないが、実はサイドメニューのフレンチフライとミートソース。名称からしてウケを狙ったものだと思いがちだが、もちろん、きちんと商品として開発されたもので、おいしいと評判だったそうだ。
そのほか、2019年から20年の年末年始には紅白まんじゅうのようなフォーチュンバーガーを発売。トップのバンズが赤、ボトムが白の組み合わせが大吉、逆なら吉、というように、紅白の組み合わせで新年の運を占うというコンセプトの商品だ。荒川氏が赤いバンズを開発したのに対し、野村氏より「だったら年末年始の商品にして、おみくじにすることでお客様に喜んでいただけるのでは」と提案されたことから商品化した。
世界第2位だが、日本では紆余曲折
こうした商品開発を行うわけは、予算の限られる同社において、プロダクトマーケティング(商品開発から販促までトータルで行う手法)が利益を上げるためのキモだからだ。
「飲食チェーンは200店舗展開してやっと採算がとれる、と一般的に言われています。当社はまだ123店舗で、広告にかけられる予算も競合と比べ潤沢にありません。だからこそ、マーケティングによって商品の魅力をアップし、付加価値を高めるわけです」(野村氏)
ちなみに、123店舗という規模にもかかわらず利益が出ていることは、同社にとっては快挙。店舗あたりの売り上げも数年前に比べて10万円以上伸びているという。
バーガーキングはそもそもマイアミ発祥の、世界第2位の規模を持つチェーンだが、日本における歴史では紆余曲折がある。1993年に上陸も経営不振で一度撤退、2006年からリヴァンプとロッテリアの共同運営によるバーガーキング・ジャパンが運営を担った。
その後2017年10月、バーガーキング本社が香港の投資ファンド、アフィニティ・エクイティ・パートナーズとの日本におけるマスターフランチャイズ契約を結んだものの、しばらくはロッテリアの運営する店舗とビーケージャパンホールディングスの運営する新店舗が共存する状態だったようだ。
これでは呉越同舟で、チェーン内部での足並みが揃わないのも無理はない。
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