うつの人が自己啓発本を真に受けてはいけない訳 逆に自己嫌悪に陥ってしまっては意味がない

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

うつの人は一般的に生真面目すぎる傾向にあります。つまり自己啓発本を100冊読んだら、100冊に書かれていることすべてをリスト化して、全部完璧にやり遂げようとしてしまうのです。物理的にそんなことは無理ですし、100冊もあれば両立しえないことが書いてあることも多いでしょう。自己啓発本はあまり真面目に読まないことが大切です。元気な人ならなにかのまぐれで成功するかもしれませんが、自己啓発本を読んで成功したうつ病患者なんて聞いたことがありません。

そもそもうつ病になると、あまりにひどい病状のときには本を読むことさえできないので、そうなると「自己啓発本」ではなく「自己啓発セミナー」で自分の人生を変えようと思うようになります。本来こういう状況になったときには一刻も早く病院にいって休養すべきなのですが、自分をうつ病だと認めたくない、自分を精神疾患だと認めたくない気持ちがしばしばそうした判断を遅らせます。

さて、自己啓発セミナーの代表的なものに「早起きセミナー」というありがたいセミナーがあります。最近だと人気YouTuberが、こうしたセミナーへの参加を薦めたりしています。いわく、早起きすると気持ちがいい、早起きで人生が変わる、朝4時起きで3億円得する、とかまあそういうことだそうです。私も経営している塾の生徒の親御さんに誘われ、そのありがたいセミナーに顔を出したことがあります。

自己嫌悪がひどくなる3セット

お月謝をいただいている親御さんとの約束を破るわけにはいかないので、緊張して眠れません。でも朝早起きはできませんから、徹夜してそのまま行きました。気持ちいいわけがありません。そもそも私にとって大事なのは3億円得することよりも、とりあえず生き延びることなのです。遅寝遅起きで3億円稼げるというなら行きたいのですが、無理をして早寝早起きをすれば3億円どころか、心身に負担をかけるだけです。

そう、うつその他の精神疾患を抱えた人にとって、「自己啓発本」「経営者本」「早起きセミナー」の役満3セットは非常に恐ろしい、できるならあまり近寄らないほうがいいものだと私は思います。その理由は、これらは希死念慮を高める危険性が高いからです。

まず、これらに触れると、本に出てくる成功者、セミナーの講師、メソッドをパシッと実行している諸先輩方などに比べて今の自分があまりに恥ずかしく、自己嫌悪がひどくなります。

次ページうつ病には絶不調期とわりと元気な時期がある
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事