日本人はICT教育の本質をいまいちわかってない 元グーグル副社長が示唆する「未来の教育」

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一方で、小中校生を子や妹弟としてお持ちの人たちは、先に述べたような新しい教育を受け始めた子どもにどう向き合ったらいいでしょうか?

自分の受けてこられた古色蒼然たる、正解をただひたすら記憶するといった教育の呪縛を解かれて、日常感覚を超えた対応で臨まれることを心がけたほうがいいと私は思います。

子どもも大人も今すぐ始めたい「新時代の教育」とは?

さらに、次に考えなければならないのが、ICTそのものを理解させる教育です。

ICTそのものを理解させる教育とは、端的にいうと「コンピュータを理解させる」教育ということです。

つまり、これまでにもいくつかの角度から言及してきたことですが、「コンピュータは人間がプログラムしてこそ動く」ということを理解させることと等しくなります。

そのためには、コンピュータの簡単な仕組みを理解させたうえで、コンピュータの簡単なプログラミングを学習させて、生徒自身の書いた簡単なプログラムで、コンピュータを動かしてみる体験をさせることです。

この目的は、生徒たちの、

「コンピュータなんかに負けない」

もっと言うと、

「コンピュータが組み込まれた機械(ロボットに代表されるスマートマシン)や人工知能なんかに負けない」

という意識の醸成に該当します。

『クオンタム思考 テクノロジーとビジネスの未来に先回りする新しい思考法』(日経BP)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

ICTそのものを理解させる教育の目的の1つとして、このような意識を芽生えさせることが重要となってきます。

以上のように述べてきた教育、ICT利活用とか反転学習とか「コンピュータなんかに負けないぞ」という気概といったものは、何も子どもたちのためだけのものではなく、大学生や社会人の方々にとっても、欠かせない視点になることと思います。

たとえば、「分数の割り算はひっくり返して掛け算する」ということの、小学生の算数の範囲だけで、小学生が納得できる説明を考えてみるだけでも、自分の知識や経験に欠けているものが何かを知る、絶好の機会になります。

自分の教育が、それこそ、「分数の割り算はひっくり返して掛け算する」ということを納得もしないで、ただ覚えるべき正解として、天下り的に身につけただけだったとすれば、改めて気付かされて、愕然となるでしょう。

村上 憲郎 元グーグル米国本社副社長・日本法人社長、村上憲郎事務所 代表取締役

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むらかみ・のりお / Norio Murakami

1947年、大分県佐伯市生まれ。大分県立佐伯鶴城高校卒業後、京都大学工学部に進学。1970年京大卒業後、日立電子株式会社のミニコンピュータのシステムエンジニアとしてキャリアをスタート。1978年日立電子のミニコンからの撤退に伴いDigital Equipment Corporation(DEC)Japanに転籍。その後、複数の米国系ICT企業の日本法人代表を務めた後、2003年4月、Google米国本社副社長兼Google Japan代表取締役社長としてGoogleに入社。日本におけるGoogleの全業務の責任者を務め、2009年1月名誉会長に就任、2011年1月1日付けで退任し、村上憲郎事務所を開設した。現在、(株)ブイキューブの社外取締役なども務めている。

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