世界保健機関新型コロナ空気感染の可能性認める 対策の決め手は建物の喚起システムの改善

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新型コロナウイルスの空気感染の可能性を多くの研究者は1年余りにわたって論じてきたが、世界保健機関(WHO)や米疾病対策センター(CDC)などの保健当局もそうした可能性を受け入れ始めている。

姿勢の変化は明確な兆候を受けたもので、科学者は1800年代に流行したコレラの主な感染源が不衛生な下水だったと判明したことで上下水道の整備が進んだ例を挙げ、換気システムの改善を呼び掛けている。

オーストラリアのブリスベンにあるクイーンズランド工科大学のリディア・モラウスカ教授(地球・大気科学)率いる研究者グループはサイエンス誌に14日掲載された論文で、屋内の空気をより清潔にすれば、新型コロナ対策になるだけでなく、米国で年間500億ドル(約5兆4700億円)余りのコストにつながるインフルエンザや他の呼吸器感染症への罹患(りかん)リスクを最小限に抑えられると指摘。病原体や関連疾患、生産性低下を回避することで、建物の換気・ろ過システムの改修コストを相殺できると主張した。

同大でWHOと提携する空気質・健康センターを統括するモウラスカ氏はズームで、「蛇口からきれいな水が出てくる」のと同じように、屋内の空気は「清潔で汚染物質や病原体を含まないものであるべきだ」と述べた。

論文を執筆した14カ国の科学者39人は屋内換気システムの改善で感染を防止できるとの普遍的な認知が必要だと訴え、空気感染する病原体に関する項目を屋内空気質ガイドラインに盛り込むことなどをWHOに要請した。

新型コロナウイルスは気道内で増殖し、呼吸や会話、歌、せき、くしゃみの際に感染者の鼻や喉から放出されるさまざまなサイズの粒子となって拡散される。

目に見える唾液の飛沫など大きな粒子は急速に落下し、地面や付近の表面に付着するが、最も小さく肉眼では見えないエアロゾル粒子は湿度や気温、気流次第でさらに遠くに運ばれ、より長く空中にとどまる可能性がある。問題になっているのはこのエアロゾル粒子だ。

結核やはしか、水痘などの空気感染は汚染された食品や水を通じて感染する病原体より追跡が難しいものの、過去1年4カ月にわたる研究でエアロゾルが流行性ウイルスの拡散に果たす役割が裏付けられた。

モウラスカ氏らは昨年7月の公開書簡で、換気の回数を増やし、ウイルスが含まれている可能性のある空気を屋内で再循環させないようにするなど、追加の予防措置を認めるよう当局に求めた。

WHOはその後、少なくとも2度ガイダンスを変更したが、新型コロナ感染は「主に通常は1メートル以内の近距離にいる人々の間」で起きるとの立場を維持している。

原題:Covid Is Airborne, Scientists Say. Now Authorities Think So, Too(抜粋)

著者:Jason Gale

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