路線バス、コロナ以上に深刻「人手不足」の処方箋 「みちのり」CEOが語る、苦境を乗り越える戦略

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――デジタル技術を用いた便利なサービスとは、具体的にはどのようなものがありますか。

新しいバスロケーションサービスの導入を進めており、間もなくグループ内バス会社全社(5社)への導入が完了します。これは、お客様ご自身のスマートフォンに、バスの位置情報に加え、定刻通りなのか遅れているのか、目的地に何時に到着予定なのかといった情報をリアルタイムに表示するサービスであり、バスの利便性が飛躍的に向上します。

茨城交通バスロケーションサービス画面(画像はテスト期間中の画面)(筆者撮影)

雨天時や降雪時は、バスは遅れがちになります。これまでは遅れるだろうと思いながらも、時間通りにバス停に行かなければならなかったのが、本サービスの導入により、家で待つことができるようになる。また、誰しも経験があると思いますが、例えば14時にバス停に到着して時刻表を見ると13時55分発と書いてあった場合、すでにそのバスが行ってしまったのか、これから来るのか判断がつかなかったのが、スマホで簡単にチェックできるようになります。

さらに、茨城交通では間もなく、バスロケサービスの画面に、お客様の乗車人数(混雑状況)も表示されるようにします(2021年4月下旬取材時。同月30日にサービス開始)。これは3密回避の対策としても有効ですが、バスが2台、間を置かずに来るような場合に、次のバスは満員だけどその次は空席があるというようなことがわかるので、コロナに関係なく、とくにベビーカーを持ったお客様やご高齢のお客様などに喜ばれるでしょう。

深刻なのは「運転手不足」

――コロナによるテレワークの浸透などによって移動需要が変化しています。今後、交通事業者には、どのような対応が求められますか。

たしかにコロナによる生活様式の変化が公共交通機関へ及ぼす影響についても、一定程度、見ておかなければならないとは思います。しかし、それよりも、もっと深刻なのが人手不足の問題です。生産年齢人口の減少により公共交通の運転手の担い手が少なくなっていく中で、サービスを享受する高齢者は増えていきます。となると、1人の運転手が運ぶことができるお客様の人数を増やしていかなければなりません。つまり、生産性を上げなければならないということですが、これは公共交通のサステナビリティを考えるうえで、極めて重要な視点です。

私は、生産性を上げるための大切なアプローチは営業活動の強化だと思っています。乗る人は乗るし、乗らない人は乗らないという考え方ではお客様を増やすことはできません。公共交通の使い方をPRし、便利さをきちんと訴求する。さらに、デジタル技術を用いて公共交通サービスのクオリティを向上させていくことです。

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