路線バス、コロナ以上に深刻「人手不足」の処方箋 「みちのり」CEOが語る、苦境を乗り越える戦略

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一方で、ユーザー側が高齢者であるがゆえにスマホが使えず、ダイナミック・ルーティングのバスをスマホで呼ぶのは難しいのではないかと、どこへ行っても言われます。しかし、高齢者のスマホ人口も年々増えており、世の中の状況は変わってきています。

また、観光型のサービスですと、どこかの観光地に行くたびにご当地アプリを入れなければならず、新たに操作を覚えなければならないといった問題が生じますが、生活目的でご乗車いただく方々向けのサービスであれば、毎日のように同じアプリをお使いいただくうちに、だんだんと操作に慣れてきます。もし、それでも駄目ならば、ボタンを押せば何分後にどこにバスが来ると表示されるようなデバイスを住宅なりバス停なりに設置すれば事足ります。

M&Aは「受け身」のスタンス

――現在、みちのりグループは東日本中心の事業展開ですが、今後は他エリアへの進出もありますか。また、交通事業以外への進出もありますか。

一部の例外はあるものの、われわれが手がけるM&A案件は、基本的に先方からご相談をいただいた場合に検討させていただくという「受け身」のスタンスで対応しており、積極的にどこどこの交通事業者を「取りに行く」ということはありません。

ひたちBRTのバス。茨城交通は2009年にみちのりグループ入りした(筆者撮影)

といいますのは、地方の交通事業というのは、その地域できちんと持続的に運営されていればそれでいいのであって、争って取りに行くというような性質のものではないからです。逆にいうと、われわれは東日本でしか事業をやらないと決めているわけではありませんので、他エリアの案件に関するご相談があれば、それはもちろん真剣に検討します。

また、交通事業以外ということですと、みちのりグループとは別枠で、最近、日本共創プラットフォーム(代表:経営共創基盤会長の冨山和彦氏)という投資・事業経営会社を立ち上げ、私は専務取締役に就任しました。われわれは、みちのりグループの事業運営を通じて交通事業分野における事業再生・成長支援のプラットフォームを築くことができたという自負があります。今後は、交通事業におけるみちのりグループでの経験をロールモデルとして、製造業・サービス業を問わず、あらゆる業種のローカル企業に対してCX(コーポレートトランスフォーメーション=企業の事業構造改革・組織構造改革)、さらにDXによる生産性向上を支援し、民間事業の活性化による地方創生を目指します。

森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

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もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など

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