W杯で「ユニフォーム女子」が増えたワケ 売り上げも7倍!アディダスが仕掛けた「円陣」

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:流通部門や自治体の方なども含めて、いろんな人に助けてもらったからこそ成功したプロジェクトだと思います。すべてを懸ける。まさに円陣ですね。

:ムービーを作るなど空中戦だけで終わらせず、各地で地道に「体験」の場を作り続けた活動。本当にすごいと思います。こういう活動が真の統合キャンペーンと言えるんだと思います。

ショップ店員がおしゃれな着こなしを提案?

:全国で複数のパブリックビューイングを実施するということは、売り場作り、広告制作、イベント準備と1カ所だけでも複数の作業が発生するのに、これが複数箇所で進行していくわけですよね。スーパーマルチタスカーではないと絶対にこなせません。

河合:地元で調整するのには日数も工数も掛かりますし、管理する私の立場としては「もう少し会場を減らしたほうがいいんじゃないか」という思いも当然ありました。しかし、先ほど、星も言っていたとおり、われわれはスポーツ用品を通して「体験」を提供する企業です。ですから、「体験」の部分が欠けたマーケティングはしたくないという思いがありました。

:会場には女性や家族連れも多く来場していただきました。みんなで観戦する場所があればユニフォームを着て行きたいというモチベーションは上がるし、実際に肩を組んで「円陣」を作る体験もできる。だから愚直に、「場所」を作ることにこだわったのです。

:パブリックビューイング以外でも、今回のワールドカップ期間中は街中でユニフォームを着ている人を見かけました。ファミリーマートの店員も着用していましたよね。

:弊社と同じく日本サッカー協会のサポーティングカンパニーであるファミリーマートには、全国約1万店舗、約10万人のスタッフの皆様がユニフォームを着用するという、まさに全国でサッカー日本代表を応援する取り組みをしていただきました。同じくサポーティングカンパニーのみずほフィナンシャルグループは、銀行窓口の方々、そして、日本航空には空港のカウンターなどで着用いただくなど、サポーティングカンパニーの皆様とともに、日本の至るところでサッカー日本代表のユニフォームが見られるような取り組みができたことは大きかったですね。
 

プロモーションのために結成された円陣ガールたちが、街中で円陣を組むパフォーマンスを行った

:ああいう一般の生活導線の中でユニフォームを着ている人がいる状況をつくりだすのも、「なんか今回のワールドカップはユニフォーム着ている人が多いぞ」と感じさせるいい仕組みになっていましたよね。

 

ユニフォームを持っていない人でも、テープを貼れば円陣に加わることができる

河合:パブリック ビューイングを実施するにしても試合の数は限られているので、円陣を楽しいものだということを浸透させるために、「円陣ガール」という女性たちがフラッ シュモブ的に現れて、街中で円陣を組むというプロモーションを行いました。また、サプライズで香川真司選手に登場してもらい、新宿で約200人で円陣を組 んだり。ユニフォームを持っていない人も円陣を組めるように、背中に貼る特注テープも制作したんですよ。

:SHIBUYA109とのコ・プロモーション企画もありましたね。

SHIBUYA109のショップ店員70人が“渋谷の女の子らしいかわい着こなし”をテーマにコーディネートを考案した

河合:SHIBUYA109にお店を構えるショップ店員の方々にユニフォームの着こなしを考えてもらい、人気投票を行うイベントを開きました。文化を根付かせるひとつの方策として、今までとまったく違ったファッション的な切り口でアプローチしてみたいと考え、渋谷のインフルエンサーである彼女たちの力を借りようと思ったのです。「せっかくならおしゃれに着たい」という女性に新しい体験を提供できたと思います。こうした切り口は世界的にも珍しいらしく、本社も興味を示していました。

:CMの主人公に女性を起用したところも含めて、女性にもファンを拡大させようという狙いも明確だし、ブレていないですよね。

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