「骨太方針2018」では、2019年度以降をどうするかが焦点となった。
骨太方針2015が奏功したせいもあってか、歳出を抑制されたくない側から数値目標の設定に強い警戒感が生まれた。その結果、2021年度までの3年間の歳出改革の目安を閣議決定した骨太方針2018では、社会保障関係費は実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることとした。数値目標は明記されなかったが、実質的な伸びを高齢化による増加分におさめるとの文言は骨太方針2015を踏襲した。
そして、2021年度までの当初予算において、閣議決定通りに社会保障費の増加を抑えた。
骨太方針2018で閣議決定されたのは、2021年度予算までのものである。そしていよいよ、2022年度以降の財政運営をどうするのか。6月に取りまとめる「骨太方針2021」で問われることとなる。
高齢化で家計や企業の負担増に
そもそも、歳出改革の目安がなくなれば、予算編成過程で予算要求の採否に収拾がつかなくなり、内閣の求心力を失う。予算枠をはめて、その枠内でしか要求が認められないという構図を作り出せれば、要求の採用をめぐって内閣に求心力が生まれる。
では、歳出改革の目安をどうするか。2022年度以降、団塊世代が75歳以上になり、75歳以上人口の増加率は年4%を上回る時期となる。2022年度以降も社会保障関係費の実質的な伸びを高齢化による増加分におさめるとすると、高齢化による増加分がこれまでよりも多く見積もられる可能性がある。
社会保障関係費が、今まで以上に伸びると、国家財政での予算繰りが厳しくなるだけにとどまらない影響が家計や企業に及ぶ。結論を言うと、家計の社会保険料負担が増えて手取りの所得が減ったり、企業が払う事業主負担の社会保険料が増えて、企業の利益を圧迫したりする。
社会保障関係費を増やすことは、社会保障給付を増やすことに他ならない。給付が増える恩恵は、もちろん国民に及ぶ。ただ、話は給付が増えるだけで終わらない。社会保障給付の財源には、税や赤字国債を元手とした社会保障費だけでなく、社会保険料もあるからだ。社会保障関係費の増加に合わせて社会保障給付が増えれば、社会保険料の負担も連動して増える。
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